「努力は報われないって思ってる。それを努力だと思っているようじゃまだまだだなって」巨人新エースが辿り着いた境地
21日のヤクルト戦(東京D)に先発する巨人の戸郷翔征投手(24)が20日、リーグ戦再開を前に現在の心境をスポーツ報知に激白した。5月24日の阪神戦(甲子園)でノーヒットノーランを達成するなど、ここまでチームトップの6勝(3敗)。新エースとして3位からの逆襲を期す右腕は「後悔のない選択を」という菅野の教えを胸に日々を過ごしていることを明かし、日本一、タイトル獲得に意欲を示した。(取材・構成=水上 智恵) リーグ戦再開を前に、戸郷の胸には沸々と燃え上がる思いがあった。交流戦を終え、21日のヤクルト戦に7勝目を目指して先発。20日は東京Dでキャッチボールなどで調整し、戦いに備えた。 「開幕戦で勝ちがついてから、しばらく勝ち星をつかめずに焦りもあった。でも積み上げてきたことは変わらない。まだセ・リーグのトップは(阪神・才木の)8勝だし、そこを目標に走り続ける。でもチームに勝ちがつくことが一番なので、それを常に考えながらやっていきたいと思う」 若きエースとしてチームを引っ張る男は、マウンドに立つ上で常に心の真ん中に刻んでいることがある。 「野球をしている中で、自分の投球に時には納得できないこともある。でも2、3年目の時に菅野さんに言われた言葉が大きい。『どんな選択をしたとしても、後悔のない選択をしなさい』って。ホームランを打たれても、“あれを投げとけばよかった”と後悔するぐらいならちゃんと考えて投げなさいって。自分の選択に責任を持って、捕手と話し合ってプレーすることが大事。それぐらい、毎日後悔しないように、と思いながらやってる」 後悔のない選択をするには、後悔をしないための練習や準備が必要と考える。ブルペンでは1球ずつデータを確認し、納得いくまで投げる。常にベストの選択を選ぶため、全力を注いできた自負はある。 「でも、僕は努力は報われないって思ってる。それを努力だと思っているようじゃまだまだだなって思うし、それは当たり前のこと。僕にとってこれが仕事だし、責任がある。ファンの方も安くないお金を払って試合を見に来てくれている。年に1回しか見に来られない人もいるから、楽しんでもらえるような試合を見せたい」 5月24日の阪神戦ではノーヒットノーランを達成し、巨人ファンに感動を届けた。 「達成できて気持ち的にもすごいうれしいし、よくなった。一つタイトルを取ったぐらいの気持ちになったし、名前が残るような記録を残せたことは光栄に思った」 歴史的快挙を人一倍喜んでくれたのが、大切なことを教えてくれた菅野だった。 「『すげ~な! 俺の記録をどんどん塗り替えてくれ!』って、声をかけていただいた。そういう話をしてもらってすごいうれしかったけど、菅野さんはCSで(ノーノーを)やってるから、すごいよね」 偉大な大先輩のように、自分ももっと大きな存在になると決意した。 「まだまだ新たな目標はたくさんある。日本一も、個人として取りたいタイトルもたくさんある。やらなきゃいけないことばかり。まだいろいろなことを残さないといけない。そういう気持ちだね」 3位からリスタートするペナントレース。貪欲な若きエースが先頭に立ち、巨人をさらに上へと押し上げる。
報知新聞社