フランスに不安募らせる市場-極右伸長で共存政権か、左派の影響も懸念
(ブルームバーグ): フランスのマクロン大統領が国民議会(下院、定数577)を解散し、今月30日の第1回投票を経て7月7日に決選投票が実施される。経済政策が劇的に転換される可能性があり、投資家にとって不確実な世界に扉が開かれた。
総選挙の結果、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)と、左派連合のどちらが政権に近づくにせよ、国民議会の主導権争いがこれほど注目されるのは、過去数十年でもまれだ。
いずれの陣営が勝ってもフランス政府の借り入れが膨れ上がると投資家らは懸念し、フランス国債のリスクプレミアムは2012年以降で最も拡大。欧州ソブリン債危機の再燃が差し迫っているか市場が問い掛けている。577の小選挙区で2回にわたり投票が行われる選挙制度の複雑さも不確実性を高める。
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現時点の世論調査の結果から最も可能性が高いのは、RN陣営が議会で最大勢力になるが、絶対多数に届かないシナリオだ。RNのジョルダン・バルデラ党首は約束通り、首相になることを拒むだろう。
国民議会は身動きが取れなくなり、マクロン大統領は恐らく暫定首相を選任する必要があるが、予算などを巡る不信任投票で崩壊の危険に常にさらされる。
ナティクシスの金利ストラテジスト、テオフィル・ルグラン氏は「政治的行き詰まりと不確実性の重大なリスクが見られ、市場のボラティリティーを持続させる結果になりかねない」と懸念する。
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RN陣営が政権を発足できるほど圧勝した場合、大統領が国防・外交政策を運営し、内政と経済政策を極右勢力が握る「コアビタシオン(共存)」政権が誕生する。ルペン氏はマクロン氏の政敵であり、緊張をはらむ結果となる。
左派連合「新人民戦線」が政策に著しい影響力を持つ結果になるかは不明だが、予測不能な2回投票制のため、可能性は排除できない。左派連合が政策決定で一定の役割を果たし、最も急進的なメンバーが優位に立つケースが、市場にとって最もネガティブになりそうだ。