肥満症の治療薬が保険適用 一方で「美容目的使用で薬不足の事態に…人体実験みたいなことになる」懸念も
11月22日から肥満症の治療薬が保険適用になりました。肥満に悩む人たちからの期待が高まる中、注意点について専門医に聞きました。 【写真を見る】肥満症の治療薬が保険適用 一方で「美容目的使用で薬不足の事態に…人体実験みたいなことになる」懸念も ■20歳以上の男性の3割、女性は2割が肥満傾向 20歳以上の男性のおよそ3割。女性のおよそ2割が肥満傾向とされる中、体重に悩みを抱える人も少なくありません。糖尿病や肥満症を専門とする大分県豊後大野市内のクリニックでも新たな治療薬への関心が高まっているといいます。 (おかもと糖尿病 内分泌クリニック・岡本将英院長)「ここ1~2年で体重に関してその薬で何とかしたいという声を聞くようになった。非常に関心が高いという状況です」 保険適用となった肥満症治療薬は長年、糖尿病の薬として使用されてきたものと同じもので、成分量と名称は変更されます。 (岡本将英院長)「保険適用になる薬は週に1回自分でお腹に注射するタイプ・キャップを外すと針が内蔵されているこれをお腹にあてて押すだけです」 月に1000人程度を診療する岡本医師は糖尿病の人が薬の副効能で痩せるケースを数多く見てきたといいます。1年10か月の投与で、94キロから23.5キロの減量につながった女性もいます。 ■美容目的使用で患者の薬が不足する事態に (おかもと糖尿病 内分泌クリニック・岡本将英院長)「もともと、やせ型の人にはなかなか使えない薬だが、肥満があることで血糖値が上がっている人に対して素晴らしい効果がある」 一方、今週大分大学医学部が開いた肥満や糖尿病に関する市民公開講座でも新しい治療薬が紹介されました。 (大分大学医学部 内分泌代謝 膠原病 腎臓内科学講座・柴田洋孝教授)「良い薬でしかるべき人に使うと非常に良い効果が期待できるが、一方で気軽に美容目的に使う薬ではない」 保険適用の対象となるのは「高血圧」「脂質異常症」「2型糖尿病」のいずれかがあり、肥満度を測る指標のBMIが35以上か、BMI27以上で健康障害が2つ以上あるといった条件を満たす人です。