目を吊りあげ…「自己愛性パーソナリティ障害」の「地雷」を踏んだ恐怖の瞬間
「目をこーんなに吊りあげて」
だがルミンが先に作品を仕上げたことで、岡田先生は馬場さんがルミンのエッセイを参考にしたのだと言い、誤解を解こうとする馬場さんの言葉を遮って、「素晴らしい」「私も嬉しい」などと言うルミン。 一部始終を知るその生徒は、ルミンに軽い気持ちでこう訊いた。 「あのエッセイって、もしかして馬場さんのアイデアから思いついた?」 この一言が、美しくはかなそうなルミンの笑顔をはぎとる。これまでずっと覆い隠してきた般若のような恐ろしい一面を見せたのだった。 目を吊りあげて、「あんたこそ人のものをいっつも盗んでるからそんなふうに思うんだろ」! ここまで安易に判断すまいと慎重に読み進めてきた読者も、きっとお分かりになるだろう。 ルミンが「自己愛性パーソナリティ障害」を抱えていることを。 ◇盗作の疑いとまで言えない、ほんのささいな質問に、普段の「トロンとした泣き出しそうな」お面をかなぐり捨て、恐ろしい形相で咬みついてきたというルミン。 しかもその後は、何事もなかったようにふるまうという。 だが人は恐怖の体験をそう簡単には忘れられない。自分のふるまいをなかったことにできると思うのなら、やはりルミンは人の心がわからないサイコパスなのだ。 ルミンにアイデアを盗まれ、文芸教室もやめてしまったと言う馬場さんはどうなったのか。 第11話に続く。
岡部 えつ/やまもと りえ/FRaU マンガ部