北陸新幹線「W7系」先頭車陸送のようす。夜中でも約80人が見物/大阪
深夜のなにわ路を圧倒的な存在感で走る、北陸新幹線W7系。先日は動画でその模様をお伝えしましたが、今回は28日深夜に行われた先頭車陸送の様子を写真でご紹介します。
深夜にもかかわらず多くの鉄道ファンらが見守る
この日、出発地である東大阪市の鉄道車両メーカー・近畿車両の前には、深夜にもかかわらず鉄道ファンや地元の親子連れなど総勢80人が待ち構えていました。大勢が固唾を呑んで見つめる中、W7系の特徴である青色と銅色に塗り分けられた前頭部が、門の奥からゆっくりと姿を現します。 車両を乗せたトレーラーは、門を出ると巧みなハンドルさばきで府道へ。いつもより緊張した面持ちの作業員に誘導されて、長さ26メートル、幅3.4メートルという巨体が、片側1車線の府道を滑るように進んでいきます。 続いて2両目となる中間車も無事に出場し、まずはここで一旦停車して積み荷の状態をチェック。その巨体故に対向車線にまではみ出した横を、警備員の誘導に従って対向車がおっかなびっくり通っていきます。
見物人「新幹線って大きいんですね」
チェックが終わったら、いよいよ出発。先導車に続いて2両の新幹線が、道路を静々と進みます。数分で中央大通との交差点に到着すると、ここで右折して大通を西へ。交差点の幅をいっぱいに使って豪快に回るその様子を、大勢のギャラリーがカメラに収めていました。 交差点でたまたま目撃したという女性は「ここは時々電車が通るって聞いていたけれど、見たのは初めて。新幹線って大きいんですね!」と言いながら、スマートフォンを向けていました。 ここから先の沿道も、交差点や歩道橋の上など、いたるところに見守る人の姿が。この後これらの車両は神戸へ向かい、そこで船に乗せられて北陸新幹線の車両基地がある金沢まで運ばれるとのことです。線路の上を走る前に、道路・海路を走る彼らは、それを目撃できた我々と同様に、なかなか貴重な体験をしたに違いありません。 彼らが自分の力で元気に走るその日が待ち遠しいですね。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる) 大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。