識者5人のセンバツ優勝予想 「山梨学院の連覇は?」「大阪桐蔭は強い?」「西暦末尾4の年は...」
戸田道夫氏(ライター兼編集者) 優勝予想:大阪桐蔭 組み合わせ決定を踏まえてベスト4進出の顔ぶれは、星稜、健大高崎、広陵、大阪桐蔭が勝ち上がるか。その中でも、序盤から厳しい戦いをくぐり抜けた末に地力を発揮するかっこうで大阪桐蔭が2年ぶりに頂点に立つ図を予想したい。 星稜は左腕エースの佐宗翼に加え、2年生右腕の道本想が成長し、投の二枚看板が確立したことが明治神宮大会優勝の大きな要因。健大高崎は関東大会ベスト4ながら、実力ナンバーワンの呼び声高い。こちらは昨秋「スーパー1年生コンビ」と言われた左の佐藤龍月、右の石垣元気を擁して盤石の投手力を誇る。 広陵、大阪桐蔭はともに昨年センバツベスト4、2年連続(21、22年)神宮大会決勝で対戦と近年の高校球界をリードする存在。広陵は高尾響、只石貫太のバッテリーが投打にチームをけん引し、大阪桐蔭も投の平嶋佳知、打のラマル・ギービン・ラタナヤケとドラフト候補を軸に全国屈指の総合力がある。 しかし、それぞれのブロックには難敵、強敵がひしめく。とくに「死のブロック」と話題のDブロックは大阪桐蔭にとっては相当に厳しい激戦区。初戦の北海を何とか倒したとしても、昨夏甲子園4強の神村学園と昨秋神宮大会準Vの作新学院の勝者が待ち受ける2回戦は実現すればあまりに贅沢な好カードになる。 注目の打者は豊川のモイセエフ・ニキータ。憧れの選手はソフトバンク・柳田悠岐という左のスラッガー。昨秋公式戦6ホーマーの打棒爆発が期待される一方、初戦で当たる阿南光の146キロ右腕・吉岡暖は、ニキータ斬りを果たしてヒーローに躍り出る可能性を秘める好投手だ。
元永知宏氏(ライター) 優勝予想:広陵 ここ数年、甲子園の優勝校予想というお題をもらうたびに、広陵を真っ先に挙げてきた。新規格の低反発バットの採用によって戦い方が大きく変わると予想される今回のセンバツでも、広陵を優勝候補に挙げる。 彼らは全国大会での経験が豊富で、試合運びがうまく、なおかつ、甲子園や明治神宮大会で優勝候補と期待されながら苦杯をなめた悔しさを持っている。 チームの中心にいるのは、1年生の春から名門校のマウンドを任されてきた高尾響とキャッチャーで4番の只石貫太。中国大会を史上初の3連覇で勝ち上がったチームの中心にいるバッテリーの経験値はおそらく日本一。2023年春は山梨学院に、夏は慶應義塾に敗れたが、頂点に駆け上がった強敵と互角に戦った実績がある。 エースの高尾は身長172センチ、73キロと大柄ではないが、ストレートの力強さとタフさ、マウンドさばきのよさは全国でもトップクラスだ。とくに気持ちは強く、中井哲之監督も「本当に負けず嫌いですよ」と認めているほど。 大方の予想どおりにロースコアの試合展開になれば、守備力と監督の采配が勝負のカギとなる。広陵には伝統の守備力と小技のうまさと機動力がある。甲子園通算38勝を誇る中井監督の試合巧者ぶりは誰もが認めるところだ。ふたりの好投手を擁する高知との初戦をモノにしても、青森山田--京都国際の勝者との対戦が待っているが、2003年以来のセンバツ優勝をしっかりと見据えている。 対抗に挙げたいのが昨年の優勝校・山梨学院だ。優勝チームのレギュラーは残っていないが、昨秋の関東大会では決勝まで勝ち上がった(3年連続決勝進出)。吉田洸二監督は選手をうまく乗せるモチベーターとして知られているし、センバツを2度制した経験がある。 大穴は、昨夏の甲子園でベスト4に進出した神村学園、2勝した北海。神村学園は関東王者の作新学院、北海は近畿大会3連覇の大阪桐蔭と初戦で対戦するが、強敵を下せば勢いに乗ることは間違いない。