ロシアに対抗するため国防費強化を、EU共同債の発行求める投資家
(ブルームバーグ): 対立する欧州連合(EU)の指導者に対して、国防費の拡大に向けて決断を下し、域内の債券プログラムを恒久化するよう求める声が債券投資家から上がっている。
EU加盟国は目下、共同債の発行を通じて軍事力を強化すべきかで意見が対立しているが、少なくとも需要については心配の必要はないということだ。トリプルA格付けの債券に対する需要は旺盛で、資産運用会社は欧州債券の発行拡大を切望しているという。
このような金融商品があれば、好戦的な態度を強めるロシアに対抗する上で必要不可欠となりつつある財政支出の拡大を、各加盟国の負債を増やすことなく実現できると投資家は指摘している。こうしたEUの債券は同格のソブリン債よりもプレミアムがつくため、投資家にとってもメリットがある。
資産運用会社ベアリングスのポートフォリオマネジャー、ブライアン・マングウィロ氏は「投資家はこれらの債券に飢えている」と話す。
欧州ではロシアのプーチン大統領がウクライナとの戦争に勝利すれば、次は自国の領土を侵略されかねないとの懸念が強まっている。一方で、数十年にわたる軍事支出の不足により、欧州諸国は侵略リスクに対して危険なほど脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。
共同債の発行を投資家が促している背景には、トリプルA格付け債券の希少価値が高まっていることがあり、こうした傾向は格付け会社フィッチ・レーティングスが昨年、米国を格下げして以降さらに強まった。また時限的な発行であることなどから、既存のEU債の利回りは、同等の格付けを付与されているドイツや、やや低いフランスの国債よりも若干高いことも投資家の需要を高めている。
原題:Bond Investors Are Lining Up to Fund the War Against Putin(抜粋)
--取材協力:ポール コーエン、Lyubov Pronina、Ben Sills、Max Ramsay.
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Sujata Rao, Aline Oyamada