明朝時代の魚文様のつぼ、19億円で落札
(CNN) 明朝時代の16世紀に作られた希少な魚文様のつぼ一対がオークションにかけられ、960万ポンド(約19億円)で落札された。予想されていた100万ポンドを大幅に上回った。 【画像】以前の所有者の自宅に飾られていたつぼ=1926年撮影 競売会社サザビーズは6日、この嘉靖帝のために作られた磁器製のつぼについて10人以上の収集家が20分にわたって競り合い、最終的にアジアの個人収集家に売却されたと発表した。 サザビーズによると、今回の落札価格は、今年世界中のオークションで落札された中国美術品の中で最高額だという。 このつぼの魅力の一部は、ふた付きで完全な対をなした魚文様のつぼが初めてオークションに出品されたという事実だ。 そろって保存されていることが分かっているふた付きのつぼは他に一対のみで、フランス・パリのギメ東洋美術館に所蔵されている。 ふたが付いている単体のつぼでも知られているのは三つのみで、いずれも個人のコレクションにある。 サザビーズによると、この対のつぼは少なくとも1世紀にわたってドイツの一家のコレクションに保管されていた。 「これらが無事だったのは奇跡的としか言いようがない。というのも第2次世界大戦中にビースバーデンの自宅が破壊される前、つぼは一家の美術コレクションとともに安全な場所に移されたからだ」(サザビーズ) サザビーズによれば、魚文様のつぼは1522年から66年の嘉靖帝の治世下で作られ、磁器生産における大きな進歩を示している。同時にこの時代に作られた魚文様の壺の華麗さを浮き彫りにしているという。 つぼには、ハスなどの植物が茂る池の中を泳ぐ金色のコイが描かれている。 「皇帝は敬けんな道教信者で、魚は抑制からの解放のイメージとして道教思想において重要な役割を果たした。魚は自然と調和した幸せで気ままな生活の象徴と考えられていた」(サザビーズ) サザビーズ・アジアの中国美術品責任者、ニコラス・チョウ氏は2017年、CNNのインタビューで、中国陶磁器の市場価格はここしばらく上昇していると語った。 「中国には新たな富があり、過去を取り戻すことに極めて熱心な富裕層がいる」 チョウ氏はまた、「中国では陶磁器は常に重要な位置を占めてきた。中東や欧州など他の場所でも伝統はあるものの、中国での歴史は数千年前にさかのぼる」と説明した。 「中国人は時間をかけて技術を磨いた。その進歩は世界のどこも比較にならない」(チョウ氏) ◇ 原文タイトル:Rare pair of Ming Dynasty jars smash auction estimate, selling for $12.5 million(抄訳)