協力醸造の日本酒も出荷。被災から約4か月、歩みを続ける能登の老舗酒蔵〈松波酒造〉
いちばん気にしていた長期熟成酒〈双心〉はどうなったか
杜氏の奥田和昌さんにはレシピと味のイメージを伝えていたそうですが、予想以上の味わいに仕上がったと金七さんは嬉しそう。 「加越さんは、杜氏さんも蔵人さんもやさしくて、できるお酒の味わいもやっぱりやさしいんです」と満面の笑みで付け加えました。 〈大江山 GO 純米大吟醸〉は松波酒造のECショップほか、石川県内の酒販店や、東京駅近くの石川県の新しいアンテナショップ〈八重洲いしかわテラス〉でも販売されています。 ■日本酒を愛する人たちによる複数のプロジェクトが進行中 松波酒造の蔵からは、瓶詰めされていた4000本近いお酒も多く救出され、インフルエンサーが募集したボランティアの力もあってきれいにしてレスキュー酒として販売されました。 そして震災当日から金七さんがいちばん気にしていた長期熟成酒〈双心〉はどうなったかというと、一部タンクが傾いていたものの3月には移送完了することができました。 約5000リットルのタンクが3本、約1800リットルのタンクが1本、合計4本のタンクに入っていたお酒の大部分を救出。プロジェクトを共同で進めている関係者と協議の上、体制を整えて瓶詰めなどを行なっていくことになっています。 松波酒造は群馬県の〈土田酒造〉、愛知県の〈伊東株式会社〉とも協力して酒づくりを行っています。これは能登で被災した5つの酒蔵を支えようと全国各地の酒蔵が協力を申し出たmakuake〈能登の酒を止めるな〉プロジェクトの一環です。 発送作業もスムーズとはいかない状況が続くなか、金七さんは、金沢を拠点に小松や能登町を何度も行き来。ボランティアや酒販店の助けもあって、注文を受けた日本酒を手作業で発送しています。 「義援金に頼って暮らすのでなく、お酒を販売してお金がいただけることは、本当に嬉しいこと。 自分の仕事ができるということが、ありがたいと思います」という金七さん。 「少しずつですけど、能登は進んでいます。ぜひ見に来てください」という金七さんの明るい声には力強さもありました。 information 松波酒造 住所:石川県鳳珠郡能登町松波30-114 Web:松波酒造 ECショップ writer profile Saori Nozaki 野崎さおり のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。