IHI、子会社が船舶用エンジンで測定データ改ざん-株価急落
(ブルームバーグ): IHIは、同社子会社のIHI原動機で船舶用エンジン及び陸上用エンジンの試運転記録に不適切な修正が行われていたことが判明したと発表した。
発表によると、確認できる2003年以降のデータを調査したところ、船舶用エンジンで出荷台数4881台のうち4215台、陸上用エンジンで出荷台数656台のうち146台で修正があった。
同社は、該当するエンジンに関連する法令や規格などに抵触しているかどうかなど、実測値を使ってあらためて確認を行っている。また、弁護士を含む外部有識者を中心に特別調査委員会を設置して、原因究明や再発防止策の策定を進めていくという。
IHIの盛田英夫副社長は夕方に開いた会見で、一般的に検査というのは製造から独立することが重要だが、製造部門で計測を行っていたことが「仕組み上のエラーであった」と述べ、改ざんが行われた原因を分析した。
同社が関係者にヒアリングを行ったところ、燃費データを良く見せることや、データのばらつきを整えるために修正したとの証言があったという。IHIの武田孝治常務によると、新潟県内の工場では不適切行為が1980年代後半からあったとの証言が得られており、改ざん問題が現状の範囲にとどまるかは分からない。
ブルームバーグ・インテリジェンスの北浦岳志アナリストはリポートで、船舶用エンジンを含むエンジン事業が占める割合は、24年3月期売上高計画の5%程度と小さいものの、改ざんの懸念が他のセグメントに広がるようなら財務への影響はより大きくなる可能性があると指摘した。
同内容については、NHKが関係者への取材を基に先に報じていた。報道を受けて、同社株は午後の取引で売り注文が膨らみ、一時前日比9.6%安の3474円と、2023年9月12日以来の日中下落率を付けた。終値は同5.7%安の3625円。
国土交通省は、IHIから不適切行為に関する報告を受けたとした上で、2003年以前の不適切行為の確認も含めた全容解明と再発防止策の策定を指示した。両社は5月末までに判明・措置した事項の報告が求められる。
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Akemi Terukina