中村勘九郎と七之助、4年ぶり「十一月花形歌舞伎」に感慨 東京・明治座
東京・明治座「十一月花形歌舞伎」(11月2~26日)で、「菅原伝授手習鑑・車引」「一本刀土俵入」「藤娘」「鎌倉三代記」「お染の七役」が上演され、中村勘九郎(42)、中村七之助(41)らが出演する。 「明治座花形歌舞伎」は平成23年に、次世代を担う若手俳優が大役に挑む公演としてスタート。令和2年3月に勘九郎、七之助を中心とした座組で公演が予定されていたが、新型コロナウイルス禍で中止に。今回、4年ぶりの待望の上演となる。 製作発表会見で勘九郎は「幕が開かないかもしれないという状況の中、稽古をしていたときが精神的に一番きつかった。心のバランスを保つのが大変だった」と当時を振り返った。 その上で、「お客さまに見ていただけなかった。そして芝居が不要不急といわれた悔しさをバネにこの4年半やってきたが、それをお返しする本当にいい機会だと思う」と喜んだ。 また、「一本刀土俵入」で自身が演じる茂兵衛は祖父の十七代目勘三郎、父の十八代目勘三郎も演じた役。「父から本当に細かくせりふ回しを教わった」という。 一方、七之助は、坂東玉三郎直伝の「お染の七役」で油屋娘お染や後家貞昌、芸者小糸など7役を早替わりで演じる。同演目を演じるのは今回で5回目。今や七之助の代表作ともいえる。 七之助は、早替わりについて「(F1の)ピットイン。僕がやりやすいのではなく、お弟子さんや床山さん、衣装さんがやりやすい位置に僕が行くのが前提。力を合わせて一生懸命演じたい」。勘九郎は「七之助が『早替わりショーにならないようにしたい』とよく言っているが、本当に一つ一つの役を的確につかめている」と語った。(水沼啓子)