浅野忠信「SHOGUN 将軍」藪重役で壊したかった既成概念 『マイティ・ソー』から13年、掴んだ大きなチャンス
「実際に戦国時代に生きた人間が誰か1人でもいるのかっていうと、誰もいないんですよね。頭の中で、当たり前のパターンを壊さなければいけない。実際にその時代に行ったら、私が一番正しい話し方をするかもしれないわけで、日本の時代劇を観ることによって、“時代劇っぽい言葉遣い”が誕生したのです。それが正しいかどうか、藪重がそうあるべきかどうかも疑問でした。確かに、当時の言葉遣いで話してはいますが、そこに囚われることで、何か損なわれるものがあるのならば、それは選択したくなかったんです。これから時代劇を作る上で、みなさんの頭の中にある“時代劇っぽさ”を逆に利用できるか。そこは面白いポイントだと思います」
『マイティ・ソー』シリーズ3作品では、主人公ソー(クリス・ヘムズワース)の頼れる仲間ホーガンを演じた浅野。その後も『47RONIN』『バトルシップ』『沈黙 -サイレンス-』『モータルコンバット』などのハリウッド大作に出演し、海外で活躍する日本人俳優として知名度を高めた。 「アメリカで仕事ができたのは、俳優人生において大きな1歩でした。そこで得たのは、自分で考えることです。私は日本の他の俳優とは少し違うタイプだということを自覚していたので、アメリカに行くことで、今まで考えてきたことを大きく花開かせるには何をすればいいのか、体で徹底的に覚えさせられたような気がしました」
海外進出によって、俳優として世界で戦うために必要なことを学ぶことができた。「自分の強みや得意な分野を、最大限にアピールしていかないと生き残れないと思いました。キャラクターを演じる時、何をしたらお客さんが喜ぶのかを常に考えるようになりましたし、『マイティ・ソー』で味わった経験が、今回の『SHOGUN 将軍』の出演につながったといっても過言ではありません」
アメリカで仕事を重ねるうちに「日本人のキャラクターを演じる以外に勝ち目はない」と痛感し、日本作品だけに集中したいと考えた時期もあったという。そんな浅野にとって、「SHOGUN 将軍」はハリウッド進出から13年目での大きな転機となった。「『SHOGUN 将軍』という作品に参加できたことは、非常に大きかったです。日本が舞台の作品をアメリカのプロダクションで撮影し、日本人として1つの役を徹底的に表現する。私にとっても大きなチャンスでした」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「SHOGUN 将軍」はディズニープラスの「スター」にて独占配信中