イスラム教大巡礼、死者少なくとも550人に 大半はエジプト人
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【6月19日 AFP】サウジアラビアにあるイスラム教の聖地メッカ(Mecca)への大巡礼「ハッジ(Hajj)」中の死者は少なくとも550人に上った。この件への対応を調整しているアラブ諸国の外交官2人が18日、AFPに明らかにした。今年も酷暑の中で行われた巡礼の過酷さが浮き彫りになった。 死者のうち少なくとも323人はエジプト人だった。322人は熱中症で、残る1人は群衆事故の際のけがが原因で死亡したという。 また、少なくとも60人のヨルダン人の死亡が確認された。 メッカ最大級の遺体安置所の累計死者数は550人だったとされる。 各国の発表に基づくAFPの集計によれば、死者数はこれで計577人となった。 サウジの国立気象センターによると、メッカの聖モスク(Grand Mosque)では17日、気温が51.8度まで上昇した。 ハッジ用のビザ(査証)取得には多くの場合、多額の費用がかかるため、毎年数万人が非正規ルートで巡礼を試みている。こうした巡礼者は、サウジ当局がルート上に設置する暑熱避難施設(クーリングシェルター)を利用できないため、危険にさらされる。 18日にAFPの取材に応じた外交官の一人は、エジプト人巡礼者の死者数を押し上げているのは「間違いなく」多数の非正規巡礼者だと指摘。 エジプトのハッジ担当者は「非正規巡礼者によって、エジプトの巡礼用キャンプは大混乱になり、サービスが崩壊した」とし、「巡礼者たちは食べ物も水もなく、エアコンも利用できない状態で長時間過ごした」と述べた。多くの非正規巡礼者は暑熱避難施設を利用できなかったために熱中症で亡くなったという。 今年のハッジでは、他にインドネシア、イラン、セネガルなどが自国民に死者が出たと発表しているが、大半の国は、熱中症による死者数は明らかにしていない。 サウジは今月、ハッジに先立ち、非正規巡礼者数十万人をメッカから排除したと発表していたが、死者数に関する情報は発表していない。 映像は16、17日に撮影。(c)AFPBB News