マリ「MINUSMA」撤収に改めて問う「国連PKOの内実と限界」
マリで対テロ軍事作戦「バルカン作戦」に従事するフランス兵(2015年12月)(C)Fred Marie / Shutterstock.com
6月30日、国連安全保障理事会は、全会一致で、マリの国連PKO(平和維持活動)である MINUSMA(マリ多元統合安定化ミッション) の活動を終了させる決議を採択した。MINUSMAは現代の平和維持活動を代表する巨大PKOであった。そのため、一つの時代が終わったという意識を、関係者に与えている。 ロシア・ウクライナ戦争を通じてロシアの民間軍事会社「ワグネル」が表舞台に登場するようになった。そして 長期にわたってマリでワグネルが暗躍 していたことが、良く知られるようになった。活動終了の決め手となったマリ暫定政府のMINUSMA撤退要求は、一向に回復しない治安情勢を反映した国連不信と反欧米の感情が、ワグネルへの依存につながっていった流れの中で生まれた出来事だ。アメリカ政府は、決議に賛同しながら、2021年以降だけでマリからワグネルに2億ドル以上が流れたとして、マリ暫定政府の背後にいるワグネルを非難した。 国際社会の全般的な情勢を反映した出来事だという意味でも、MINUSMA活動終了が持つ意味は大きいと言える。
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篠田英朗