無印良品ブランドでよみがえる団地-URと地域活性化、若者呼び込む
(ブルームバーグ): 無印良品を手がける良品計画と都市再生機構(UR)が、老朽化した団地を改修して新たなビジネスを創出し、若い居住者を呼び戻そうとしている。高齢化した住民の孤立が深刻化する中、改修をきっかけに若者との交流が始まるなど問題解決の糸口が見えつつある。
良品計画の子会社であるMUJI HOUSEは、団地に新しい息吹を吹き込もうと、URと共に10年以上にわたって団地のリノベーションを進めてきた。キッチンや畳などの設備を刷新し、若い居住者を引き付けようとしている。2021年からは改修の範囲を団地の近隣にも広げ、地域の活性化に取り組んでいる。
「住戸内の暮らしにフォーカスし、 まず若い人に入ってもらおうという狙いがあった」と、MUJI HOUSEリノベーション事業部の豊田輝人部長は話す。21年に立ち上げた新規事業「団地まるごとリノベーション」では、インフラの補修や社交イベントの開催を通じて、新たに入居した若い住民が高齢者とコミュニティーを形成する手助けをし、団地全体を活性化させたいと考えている。
「団地」は、生活に関連する施設が周囲に完備された集合住宅で、戦後の人口増加に対応するため大都市の郊外などに建設された。建設当初は中産階級の憧れの的とされていたが、人口減少時代に突入し一部地域では空室が目立つようになり、建物の老朽化や住民の高齢化が進んだ。現在は公営や、独立行政法人のURが管理しているものがある。
MUJIが12年から実施している住戸リノベーションは、若い世代を団地に呼び込むことに成功している。これまで61団地、約1200戸で行ったが、居住者は75%が40歳代以下で、高齢者の比率が37%に上るUR賃貸住宅全体に比べ若年層が多い。新たなプロジェクトでは、対象を個々の住戸だけでなく共有スペースや周辺施設にまで広げる。
UR住宅経営部のストック活用計画課主幹の入村誠氏は、MUJIがリノベーションを実施した「住戸と一貫したデザインを採用した共用部改修」でコミュニティ-をつくっていくと説明。「いろいろな人に魅力的だと思ってもらうため、にぎわいは必要」と語る。