観光客戻り“投げ銭”復活 禁止されているのに…水質汚染を懸念する観光地も
日テレNEWS
観光地で池などに硬貨を投げ入れる、いわゆる“投げ銭”をする人の姿が戻ってきています。インバウンドの影響で今後、外国人観光客の増加に比例して“投げ銭”が増える可能性もある中、水質汚染なども懸念され、観光地からは悩みの声が聞かれました。 ◇ 幸せになるための願掛けなのか。金沢駅のすぐ近くにある池の中に、たくさんの硬貨が沈んでいました。全国の観光地などで見られる、いわゆる“投げ銭”です。それはまるで、イタリア・ローマの人気観光地「トレビの泉」のようでした。 観光客 「トレビの泉行ったときのような」 後ろ向きにコインを投げ入れると“願いがかなう”という言い伝えがあり、池を管理する金沢市も“投げ銭”については静観しています。定期的に清掃を行い、回収した硬貨は市の財源にしているということです。 金沢市土木局・道路管理課 立壁廉さん 「コロナが広がっていた時期は、金額が少なくなっていきました。(今は)コロナ前まで水準が戻った」 “投げ銭”は、観光復活のバロメーターにもなっているといいます。 ◇ 一方で、悩みを抱えている観光地もあります。 山梨県の忍野八海。富士山の澄み切った雪解け水が湧くため、透き通った池の様子が見える絶景スポットです。 しかし、中国人観光客が何度も池に硬貨を投げていました。実は、忍野八海では禁止されている行為で、池の前にも看板を設置しています。先ほどの中国人観光客に話を聞くと、「みんなが投げているから悪気なくやった」ということですが―― 忍野八海水底コイン回収・潜水ボランティア 坂本新代表 「各国の硬貨・コイン以外のものも落とされたりします。それによって水質が汚染される懸念もあります」 景観を損ねるという意見も多いため、ボランティアが定期的に池の中に潜り、硬貨を回収しているということです。 インバウンドの影響で今後、外国人観光客の増加に比例して“投げ銭”が増える可能性もあるといいます。 忍野八海水底コイン回収・潜水ボランティア 坂本新代表 「私が見た頃の忍野八海は本当にきれい。(後世に)つなげていきたいというのが願い」 ◇ 埼玉・本庄市のお寺でも、生き物を守るため“投げ銭”対策を行っています。 長泉寺 閑野徳満住職 「対策としてたてられた弁天さま。投げるのではなく、“持って行って置く”」 硬貨が見えるのは池の中ではなく、池の中心に置かれている弁天さまの周りです。かつて、コイが相次いで死んだため、詳しい人に相談したところ、硬貨のさびが原因だと言われたということです。 長泉寺 閑野徳満住職 「みなさんの大切なお気持ちの結果が、コイの死につながるのもさみしい」 禁止の呼びかけではなく、池の中心に弁天さまを設置することにしたといいます。 参拝客が自分の体の調子の悪いところなどに自然と硬貨を供えるようになり、今では池に硬貨を投げ入れる人がいなくなったということです。