【トランプ氏再選】大きな懸念となる石破首相外交 米中対立の深まりから日本経済が混乱、「レアアース危機」に発展する可能性も
日米の信頼がないと中国の天下
その石破首相は外交の手始めに10月のASEAN関連首脳会議で中国の李強・首相と会談し、11月13日からペルーで開かれるAPEC首脳会議に合わせて習近平・国家主席との首脳会談を求めている。 外交において政治と経済は表裏一体だ。 米国の大統領選が終われば米中の対立が一層深まり、台湾海峡をめぐる米中の緊張が高まると、中国が経済的に日本に揺さぶりをかけてくる可能性が高い。 経済評論家の加谷珪一氏はこう見る。 「日本にとって中国は最大の貿易相手であり、日本企業はこれまで米中対立の狭間でうまく商売をしてきた。しかし、米中対立が激しくなると、今後、日本企業は中国とのビジネスを切る方向か、続けるかの選択を迫られる。その時、中国はおそらく日本企業の分断を図ろうとするでしょう。中国に友好的な企業であっても、レアアースの輸出規制などで揺さぶりをかけて混乱させ、もっと投資させるとか、技術を囲い込むなど自国の優位性を得ようとする可能性が強い」 そうなれば日本の経済界は混乱に陥る。 経済ジャーナリストの天野秀夫氏はどんな業界に影響が出るかをこう予測する。 「たとえばレアアースの一種であるネオジウムが中国から輸入できなくなると、EVや精密工作機械、医療機器などに広範囲に使われているネオジウム磁石というモーター部品が作れなくなってしまうから産業界には大きな影響が出ます。また、中国での売り上げが大きい電機メーカーや水産物などの食品関連企業は、日本企業を締め出すような動きがあれば、大打撃を受けます」
そうした危機に直面した時、石破首相の対応では非常に心許ない部分がある。 「安倍政権時代も日中関係が険悪化したが、あの時は水面下で自民党幹事長だった親中派の二階俊博氏が日中経済界の橋渡し役となって、政治的には対立しながらも経済関係を維持してきた。そうした綱渡りの対中外交は、ベースに日米の信頼関係がなければできない。石破政権は発足したばかりであり、まだ十分に米国との信頼関係は構築できておらず対中関係のキーマンも見当たらない」(加谷氏) 石破首相が備えもなく米中の狭間で“素人外交”を展開すれば、日本企業が隘路に陥らないかが心配されているのだ。 ※週刊ポスト2024年11月22日号
【関連記事】
- 米大統領選で繰り広げられた「イーロン・マスク氏vsビル・ゲイツ氏」のマネーゲーム 足元ではテスラの牙城が崩れ、日本の自動車メーカーにも好機
- トランプ氏勝利で見えてきた「ウクライナ戦争の終わり」は日本経済にとってチャンスに エネルギー・食糧価格が低下すれば浮揚の道も
- 「経済音痴の石破茂首相はすでに“ザイム真理教”に洗脳されている」と森永卓郎氏 金融・財政の引き締め邁進なら日本は「令和恐慌」へまっしぐら
- 【一目瞭然!給料からの天引き額は20年間で48万円増】負担増が見えにくい“隠れ増税”を検証 年収600万円会社員の手取りはこんなに減っている
- 【年末までに仕込みたい注目株&投資信託16選】来年1月の新NISA非課税投資枠更新で新規マネー流入期待、注目は高配当株や政策追い風銘柄