炊き出し詠んだ短歌に感謝 京都のシェフ木下さん 輪島・今井さんに書贈る
■「炊き出しのパエリア待ちし炎天に捜索ヘリはまた飛び立てり」 北國文芸10月賞2位 能登で炊き出しボランティアを続ける京都市のスペイン料理シェフが、自身の活動を短歌に詠んだ住民に会い、「素晴らしい歌を作ってくれてありがとう」とお礼を伝えた。感謝の気持ちが感謝につながる温かな輪が被災地で広がった。 シェフはスペイン料理店オーナーの木下清孝さん(54)=京都市=。地震発生以来、能登での炊き出しは12回を数える。 奥能登豪雨直後の9月24日も輪島市河井町の重蔵神社でパエリアを振る舞った木下さん。順番待ちの列にいた今井眞紀子さん(71)は、不明者を捜すヘリが離陸したのを見て「炊き出しのパエリア待ちし炎天に捜索ヘリはまた飛び立てり」と詠んだ。 この歌を本紙文化面「北國文芸」に投稿したところ、10月賞の2位に選ばれた。自分の活動を詠んだ歌が入選したことをボランティア仲間から聞いた木下さんがSNS(交流サイト)で発信すると、歌に感銘を受けた知り合いの書家が清書して木下さんに贈ってくれた。 10月31日、木下さんは今井さんに会い、「短歌にしてもらい、これからも頑張ろうという気持ちになる」と話し、書を手渡した。今井さんは「炊き出しを待つ人もいれば、悲しい思いをしている人もいることを伝えたかった。書をいただいて感激した」と語った。