＜日・ロ＞7回2死一、二塁、水野の2点タイムリー三塁打にベンチ前でバンザイする新庄監督と日本ハムナイン（撮影・長久保　豊）

　◇パCSファーストS第3戦　日本ハム5―2ロッテ（2024年10月14日　エスコンF） 　日本ハムは14日、ロッテとのクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージ第3戦に5―2で勝利し、2勝1敗でステージを突破した。就任3年目も大胆采配を連発してきた新庄剛志監督（52）は大一番で抑えの田中正義投手（30）を2―2の5回途中から投入する気迫の継投で流れを呼び込み、逆転勝利を演出。16日から始まる6試合制のファイナルステージで、リーグ王者のソフトバンクに挑む。 　北山も、清宮も、ベテラン・宮西も泣いていた。新庄監督も、感情を解放して歓喜に沸く選手たちを万感の表情で見つめる。初戦黒星の崖っ縁から2連勝でつかんだ、8年ぶりのCSファイナルS進出。これも指揮官が描いた日本一へのシナリオの一ページに過ぎなかった。 　「みんな泣いていた。それぐらいこの試合に対する思いが一つになっていた。脚本的には、あと22ページある。ここまで描いた通りになって凄くうれしい」 　同点の5回。大きな勝負手を打った。2死から先発・北山が角中に四球を与えると、迷わず投手交代を告げた。アナウンスされたのは「田中正義」。20セーブを挙げている守護神の登場に本拠地のファンもどよめいた。ファンを何より大切にする新庄監督は理由について「こういう試合の采配で誰をも喜ばせる、感動させるのも監督の仕事」と説明。これが球場の空気、そして試合の流れも変えた。 　田中正は2死一塁でソトを3球三振に仕留めるとシーズンではなかった回またぎで7回1死まで投げ1回2/3を完全投球。「無心で一人一人という感じだった」と胸を張る。魂の20球が直後の7回の水野の決勝2点三塁打を呼ぶ。指揮官も右腕の快投に「期待に応えてくれた」と感謝した。 　劇的な逆転サヨナラ勝利を収めた前日に続き、応援団は得点圏に走者を置いた際のチャンステーマを、7回の走者がいない場面から演奏。3万7478人の大声援を受け、7回以降に3得点した。新庄監督も「チャンステーマ、感動しましたね。選手が、おとなしい印象の北海道民の殻を破らせた」と感謝する。 　16日から始まるソフトバンクとのファイナルSの初戦は今ステージで温存したエース・伊藤を投入する。相手にアドバンテージの1勝があり、新庄監督は「伊藤君が初戦でイーブンに持っていくだけ」と見据える。北海道が誇る名脚本家・新庄剛志のシナリオは、まだまだ続く。（田中　健人） 　《2位から＆逆王手からは球団史上初》日本ハムは14日、ロッテとのクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージ第3戦に5―2で勝利し、2勝1敗でステージを突破した。就任3年目も大胆采配を連発してきた新庄剛志監督（52）は大一番で抑えの田中正義投手（30）を2―2の5回途中から投入する気迫の継投で流れを呼び込み、逆転勝利を演出。16日から始まる6試合制のファイナルステージで、リーグ王者のソフトバンクに挑む。