新作落語を次世代へ 桂小春団治主催「新世紀落語の会」で養成講座出身作家ネタも
落語家桂小春団治(66)が主催する「第85回 新世紀落語の会」が、12日に大阪・DAIHATSU心斎橋角座で行われる。小春団治が5日、取材に応じた。 同公演は小春団治が代表を務め、事務所や一門の垣根を越えた創作落語の会。故横山ノックさん、故上岡龍太郎さんらの応援を受けて99年に第1回が行われ、コロナ禍で開催できない時もあったが、今回で85回目を迎える。 今回演じられるのは笑福亭笑利「カレー屋」(自作)、桂三幸「グランメゾン大阪」(自作)、桂春之輔「ハンカチ」(作・小堀裕之)、笑福亭生寿「老いては恋に従え」(作・西村友成)、桂九雀「SK VS NK」(作・千鶴)の5席。小春団治は裏方としてサポートする。 生寿が演じる「老いては-」の作者西村氏は、小春団治がプロデュースする心斎橋大学「落語作家入門講座」の第1期卒業生だが、落語作家を養成する理由は何なのか。 上方落語のはなし家約280人に対し、演じられる古典落語は約200だという。 「今でこそ古典になってますけど、(できた)当時は新作。世の中の世相を反映したり、はやりの歌舞伎のパロディーだったり。これだけはなし家が増えたことは過去になくて、新たに時代に応じたものを構築していかないと先に伝えていけないので、作家を育てるのは大切」 創作の第一人者、6代桂文枝も「今は創作と言われても、何十年かたてば、それが古典になる」との考えで、創作に取り組んでいる。未来の落語家へ、演じるネタを増やして残す-。小春団治もそう考える。古典だけでなく、新作落語も手がけ、思うことがある。 「新作をやると古典が分かる。古典は技術を磨く、新作はセンスを磨く」と言うが、「ゼロから生み出すのは大変な作業」とも。実際に作家に任せるはなし家も少なくない。 だが、受け皿となる作家は少なく、落語を先の世代に継承するためにも作家の養成は必要不可欠。幸い、落語作家入門講座は現在第2期生が受講中で、秋には第3期生を募集する予定と好評を博している。 西村氏の落語には「落語のテンポが良くて聞きやすい。お客さんを飽きさせないと思う」と太鼓判を押す。未来を見据えた取り組みに注目してほしい。【阪口孝志】