自殺対策白書公表「生まれてきた意味ってあるの?」こどもの自殺は過去最多水準で高止まり
29日に公表された自殺対策白書によりますと、去年自殺したこどもは513人と高止まりの状況が続いていて、死にたい気持ちになるこどもは、以前と比べて、「あきらめ」の気持ちを持つことが増えてきているということです。 29日に公表された今年度の自殺対策白書によりますと、去年の小中高生の自殺者は513人で、去年より1人減りましたが過去2番目の多さで、高止まりの状態が続いています。 電話相談などをうける、認定NPO法人チャイルドライン支援センターが実施した、希死念慮(死にたい気持ち)をもったこどもの気持ちの分析によりますと、2016年からの7年間では、8.4%だった「あきらめ」の感情が、2023年度は12.3%に増えていたということです。 チャイルドラインには、「自分は必要ないとしか思えない。さっさと殺してほしい」「誰からも必要とされていない邪魔者。生まれてきた意味ってあるの?」など、生まれてきたことを否定する相談も届いていることからも、希死念慮をもつこどもの気持ちが、「苦しい」から「あきらめ」へと変化していると分析しています。 また、チャイルドラインに相談した動機は、「話を聞いてほしい」が最も多くおよそ8割を占め、「死にたい」などの思いを解決する答えがほしいとした子は2割以下だったということです。こどもからは、「そんなことで死にたいなんていうなとかじゃなくて、『がんばったね』『だいじょうぶだよ』といわれたかった。死にたいと思ってしまう自分を認めてくれる人が隣にいてほしい」などの声もあり、チャイルドラインは、まずは気持ちを受け止めること、寄り添うことが何よりも必要な支援であるとした上で、多様な生き方・価値観を否定するのではなく、お互いの生き方、一人一人の個性を認めることができる世の中こそが、誰もが「自分は生きていていい」と思える社会なのではないかと話しています。 また今回の自殺対策白書は、初めて、こどもの自殺が特に増える8月から9月の地域別のデータが公表されました。それによりますと、北海道や東北地方では他の地域よりも2週間ほど早い8月中に、自殺したこどもが増えていて、夏休み明けがほかの地域より早いことと関連があるとみられます。 さらに、自殺したこどもで自殺未遂歴がある場合について、自殺未遂の時期の分析も初めて行われました。自殺したこどもで自殺未遂歴があるこどもの半数以上は、1年以内の自殺未遂歴があり、特に女子小学生や女子高校生では、自殺の前、1か月以内に自殺未遂をしていた例がおよそ3割を占めました。 厚労省は、「こどもの不安や悩みに耳を傾け、必要な支援につなげることが重要。自殺対策を強力に推進していきたい」としています。 いま、つらさや生きづらさを感じているという方には、電話や「LINE」で相談できるところもあります。誰かに話すことで、楽になることもあります。相談してみてください。 【電話】「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556 【LINE】「生きづらびっと」「こころのほっとチャット」 【webサイト】かくれてしまえばいいのです