長時間続く津波推移や警報継続の根拠を丁寧に伝える充実した情報提供へ 気象庁
大規模な地震発生で津波が長時間継続した場合の情報の伝え方を話し合う気象庁の検討会は、実況の推移のほか、津波警報が継続する根拠を過去の事例などを使って丁寧に解説した上で、避難や救助に役立ててもらう案を示しました。 気象庁は2011年の東日本大震災などの過去の災害による教訓をふまえて、津波に関する情報の伝え方について去年12月から有識者を交えた検討会を行っています。 南海トラフ巨大地震など大規模な地震による津波は、津波が減衰するまで時間がかかるため長時間にわたって津波警報や注意報が継続します。 このため、住民の避難や自治体などの防災対応も長時間に及びますが、気象庁が津波警報などを出した後は観測情報の発表や警報・注意報の切り替え以外、解除されるまで、津波の途中経過を伝える情報がないことが課題となっています。 実際、今年1月1日の能登半島地震では北海道から九州地方までの広い範囲で津波が観測されましたが、大津波警報の発表から津波注意報に切り替わり、すべての地域で注意報が解除されるまでは約18時間かかりました。 21日に開かれた検討会では津波がいつまで続くのか見通しを示すために、記者会見などで津波の波形データを用いて実況の推移を説明した上でさらに警報・注意報が継続する根拠などを過去の事例などとともに丁寧に解説して津波情報の充実を図る案を示しました。 また、津波は時間が経過してから高さが最大となる場合があることなど様々な特徴があることを正しく理解してもらうために、自治体などの防災関係機関と報道機関に定期的に説明する場を設けることも提案しています。 検討会の委員である自治体担当者からは、人命救助にあたる現場の隊員の活動に役立つ情報にしてほしいという声や防災情報の専門家からは示された津波波形データが逆に安心情報として受け取られないような配慮が必要などという意見が出ました。 この新たな津波情報提供の運用は準備が整い次第開始する予定で、気象庁は津波情報が適切な防災対応につながるよう、今後も、津波の予測技術向上に取り組み情報提供の改善を続けていくとしています。