オーガニックでおなかにも優しい?新たな「A2ミルク」をカネカが販売…普通の牛乳と何か違うのか特徴を聞いた
新タイプの牛乳「A2ミルク」を知っているだろうか? ニュージーランドやオーストラリアなどの海外ではすでにニーズが急速に高まっていて、日本でも広がりを見せているのだそう。なんでも、飲んだときにおなかが痛くなりにくいことから、“おなかにやさしい牛乳”と注目を集めている。 【画像】「オーガニック生乳でつくった有機牛乳」がこちら
オーガニック製法によるA2ミルク
そんなA2ミルクで、さらにオーガニック生乳で作ったものを化学メーカー「株式会社カネカ」(東京・港区)が販売を開始した。 一般的な牛乳には、「β-カゼイン A1」というおなかが痛くなる原因の1つと言われているタンパク質が含まれている。その「β-カゼイン A1」を遺伝的に生産しない牛を「A2牛」といい、その牛から100%生産された牛乳を「A2ミルク」というのだ。 「飲んだらおなかの具合が…」と牛乳を敬遠していた人も、「A2ミルク」なら飲める可能性が高いという。 そして、カネカが新たに販売を開始した牛乳が、“オーガニック生乳”を使用した「A2ミルク」。 同社では、持続可能な酪農の実現を目指し、地元の酪農家と共に、北海道に有機専用牧場を開設。牛を繋がずに自ら牛舎を出入りして、自由に牧草地で採食するというストレスのない、全国でも希少な放牧スタイルで飼育。 さらに、一般的には輸入飼料を使うところを、酪農家や大学の先生などからアドバイスをもらいながら、農薬を使わず自ら畑を耕してとうもろこしなどを栽培し、牛にとって最適な飼料作物を生産しているという。 そんなA2ミルクが「オーガニック生乳でつくった有機牛乳」だ。 カネカは、スーパーマーケット「ライフ」「BIO-RAL(ビオラル)」の約70店舗、そして「カネカオンラインショップ」で、3月19日に先行販売を開始。希望小売価格は1000mlで税抜498円となる。
一番の違いは希少性
日本で初めての“オーガニック生乳を使用したA2ミルク”とのことだが、そもそもどんな牛乳なのだろうか?少し価格が高額なのも気になる。 製造・販売しているカネカの天川隼人さんに話を伺った。 ーー「オーガニック生乳を使用したA2ミルク」はどのような牛乳? A2ミルク自体の味わいは、通常の牛乳と大きな違いはありませんが、弊社の牛乳として下記の特徴があります。 (1)豊かな大地で育った健康な牛が作る芳醇なオーガニック生乳の風味。 (2)ベルギー・Pur Natur (ピュアナチュール)社の伝統製法による甘味とコクがありながらもすっきりとした後味。 一般的な牛乳は、複数の牧場の生乳から製造されていますが、当社の牛乳は別海ウェルネスファーム(カネカが酪農家と供に北海道に開設した有機専用牧場)1軒の牧場の生乳だけで製造していることもあり、生乳の風味をより一層感じて頂けるかと思います。また、ピュアナチュール社の製法により、甘みを感じながらも後味がスッキリ感じられるかと思います。 ーー「一般的な牛乳」と「A2ミルク」では何が違うの? 一番の違いは希少性かと思います。オーガニック(有機JAS)&A2ミルクの商品としては、地場の酪農家様などの商品を除くと、ほとんど初めての商品かと思います(自社調べ)。 オーガニックの認証を受けるためには、国の定めた厳格な基準を満たす必要がありますし、A2ミルク100%で生産するには、牧場で飼育する牛を全てA2の牛に限定する必要があります(別海ウェルネスファームでは、遺伝子検査で確認をした上で飼育)。こういった事情もあり、これまで商品化が進んでこなかったのではないかと思います。 ーー牛乳の中では高額な印象だが、その理由は? 498円(税抜き)という売価は、牛乳市場における価格としては、ややチャレンジングな価格設定に感じられるかもしれません。ですが、商品の強み(希少性・差別性)を加味すると、戦える価格帯であると考えています。 理由として、(1)一般牛乳がここ数年で2割近く値上がりし、価格的には高価格帯の商品が選ばれる環境となっていること。(2)オーガニック牛乳やA2ミルクといった商品のカテゴリーとしては、他社様の中でも比較的、手に取りやすい価格帯であることがあります。 一方で、今すぐは出来ませんが、今後商品の拡大を果たしていく中で、より手に取りやすい価格設定を目指した取り組みも進めていきたいと考えています。