バイデン米大統領、トランプ氏との対決姿勢を鮮明に-一般教書演説
(ブルームバーグ): バイデン米大統領はワシントン時間7日夜(日本時間8日午前)、上下両院合同会議で今年の施政方針を示す一般教書演説を行い、国内外で民主主義が脅かされていると語った。11月の大統領選での再対決がほぼ確実なトランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲く可能性を念頭に置いた形だ。
バイデン大統領としては、対決姿勢を鮮明に打ち出すことで、再選のためのキャンペーンに新たな活気を与えるのが狙いと考えられ、1時間余りに及んだ演説で何度も自身の「前任者」に批判の矛先を向けた。各種世論調査では現在、トランプ氏の優勢が示されている。
大統領は「今が平時でないことについて、議会に目を覚まさせて米国民に警告を発するのが今夜の私の目的だ」と述べ、「リンカーン大統領や南北戦争の時代以来、今日ほど自由と民主主義が国内で攻撃されている状況はない」と語った。
このほか、「米国が立ち去れば、ウクライナや欧州、自由世界を危険な状態に置くことになる」と語り、ウクライナ向け追加支援のための法案可決を議会に呼びかけた。
バイデン大統領は、対ウクライナ支援を妨害してロシアのプーチン大統領に同調しているとしてトランプ氏と共和党を批判した。
1980年代、旧ソ連の最後の最高指導者だったミハイル・ゴルバチョフ氏にレーガン大統領がベルリンの壁を開くよう促したことと、国防費のコミットメントを満たさない北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対しては、ロシアが好きなように侵攻するのに任せると、在任中に欧州の首脳に語ったとするエピソードをトランプ氏が明らかにした点を対比させた。
バイデン大統領はトランプ氏を名指しすることはなかったものの、「前米大統領は実際にそのように語り、ロシアの指導者に屈服した。これは言語道断で危険であり容認できない」と話した。さらに、2020年大統領選の結果をトランプ氏が覆そうと試みたとして非難した。
現在81歳のバイデン大統領について、2期目の4年間を務めることができるか米国民は疑念を抱いており、大統領はこうした懸念を払拭(ふっしょく)するとともに、有権者にアピールする2期目の政策課題を打ち出す必要がある。