「年金支給額」=「受け取れる額」ではない!? 支給額が「180万円」だと実際にはいくら受け取れる?
老後の生活を大きく左右するのが年金です。実際に、支給される年金を老後の生活基盤とする方も少なくありません。そのため、将来もらえる予定の支給額を、確認している方もいるのではないでしょうか。 しかし、年金支給額と実際に受け取れる金額は、状況によっては同じではありません。給料などと同じように、所得税や住民税が引かれるケースがあります。 今回は、年金を毎年180万円受け取れるケースを例に、税金の金額や、実際に受け取れる金額についてご紹介します。
年金の手取り額を計算する方法
年金は、所得税や住民税における課税対象であり、さらに、国民健康保険や介護保険料なども差し引かれます。老後の生活に深くかかわるため、年金から引かれるお金と、計算方法を把握しておきましょう。 なお人によっては、年金以外に収入を得ているケースなどもありますが、今回は、年金からのみ収入を得ているとして考えます。 ◆雑所得の金額を求める 年金収入から「公的年金等控除額」を引くと、雑所得としての所得金額を求められます。年金から雑所得の金額を求める方法は、公的年金から得る収入の合計額によって変わるため、注意が必要です。年金から得る収入の合計額に応じた雑所得の金額の求め方は表1になります。
※年金以外の所得が1000万円以下の場合 ※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.1600公的年金等の課税関係」を基に筆者作成 ◆保険料の金額を求める 年金受給者が支払う保険料は、国民健康保険料または75歳以上ならば後期高齢者医療保険料と、介護保険料です。それぞれの保険料は、自治体によって保険料率が異なります。同じ都道府県内でも、市町村によって変わることもあるため、ホームページなどで確認しておきましょう。 ◆雑所得から基礎控除や社会保険料などを控除したあとに税金額を求める 基礎控除とは、所得金額に応じて、所得の合計額から控除できる金額のことです。年金収入のみの場合は、雑所得がそのまま合計所得金額となります。そのため、雑所得から基礎控除と社会保険料を引いて求めた金額を基に、所得税や住民税を求めます。 なお、所得税の基礎控除額と、住民税の基礎控除額は異なりますので、注意しましょう。表2は、所得税と住民税の基礎控除額です。