オリックス生命の長崎進出から8年 人材確保が順調、「第2本社」として役割拡大 女性も活躍
オリックス生命保険(東京)が長崎市にコンタクトセンター(顧客窓口)を中心とする拠点、長崎ビジネスセンター(BC)を開設して8年が経過した。人材を「順調」に確保し「第2本社」として役割を拡大。女性が管理職の3割を占め、成長を支えている。 2016年の開設時に約10人だった社員数は、19年に元船町のオフィスビル「長崎BizPORT(ビズポート)」への移転を経て、約440人となった。当初の雇用計画は約600人。新型コロナウイルス流行を機に人工知能(AI)の自動音声応対システム「ボイスボット」導入などデジタル化を推進し、現人員数に落ち着いた。 災害に備える業務継続計画(BCP)に基づき、第2本社化を進めてきた。中でも「査定」業務は育成に時間を要する。新規契約時の引き受け査定は、糖尿病など保険会社にとってリスクが高い疾患にも範囲を拡大。診断書を見て妥当性を判断する支払い査定も、入院給付金だけでなく死亡保険金に広げた。その結果、業務量の比率は東京本社とほぼ半々になった。システムの保守・メンテナンスを担うIT部門は13人に増員した。 人手不足に苦しむ企業は少なくないが、長崎BCはこれまで県内全8大学をはじめ、毎年20人程度の新卒を採用している。 採用担当者は学生と複数回、個別面談し、就職活動全般の相談にも応じる。ヘッドセットなど現場の機器を使いオペレーター業務を疑似体験させ、カスタマーハラスメント対応のシナリオもある。「職場のフォロー体制などを知ってもらえれば不安を軽減できる。就職後のミスマッチを防ぎたい」(長崎人事・総務チーム上野都喜子さん)。昨季からは大学3年生以下にも1日仕事体験のほか、ライフプランや自己分析のセミナーを始めた。 こうして入社後半年以内の離職率を3%にとどめている(21年以降、中途採用含む)。 女性は全社員の87%。管理職のマネジャー以上17人のうち5人。ユニットリーダー以上であれば55人中43人を占める。 入山あずささん(43)は17年に中途入社。未経験者だったが、「職場の風通しが良いため発言や質問がしやすく、成長させてもらえた」。現在はチーム長として約70人をまとめ、特に新人育成の役割が大きい。会社側は「キャリア形成のロールモデル」としても期待している。 来春時点で5組の姉妹が働く。榎本祐二センター長は「身内から評判を聞いて就職先に選んでもらえている。地元に根付いてきたと感じる」と話す。