【デーブ大久保コラム】ソフトバンク4年ぶりの優勝は伝統である厳しい練習の賜物です
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 このコラムを書いているのは巨人がリーグ優勝に王手を掛けているときです。99%の確率で優勝すると思います(9月28日に巨人のリーグ優勝が決定)。そのセ・リーグの優勝に関しては来週にお話ししますので、今回はパ・リーグの覇者のお話をしましょう。 【選手データ】小久保裕紀 プロフィール・通算成績 ソフトバンクが4年ぶりにパ・リーグを制覇しました。圧倒的な強さです。90勝もできるのではないかというくらいの圧倒的な勝ち方でしたね。ただデーブ的には4年ぶりというのは期間が空いたなあ、という印象とともに、やはり主力の入れ替わりにはそれくらいの時間がソフトバンクでさえかかるのだな、と感じましたね。 春季キャンプを取材させてもらいました。そのときに感じたのは誰一人として練習で手を抜いていないということでした。あの今宮(今宮健太)でさえ「レギュラーじゃないです」という言い方で、もう一度その座を奪いに行く必死な練習をしていました。ベテランの域に達し、さまざまな経験をしてチームに栄光をもたらした選手でさえ、必死に練習に取り組んでいるキャンプの姿を見て「今年のソフトバンクは強いぞ!」と感じていました。 それと選手時代から自分自身に妥協を許さなかった小久保(小久保裕紀)監督が新監督に就任。ダイエーの苦しい時代から脱却し、強いダイエーにしていった選手の一人だけに、その雰囲気をもう一度チームに植え付けたのもよかったと思います。 その厳しさについていけるだけの若手がいたことも大きいです。つまりデーブ的な視点でいえば、昨年までの藤本(藤本博史)前監督が、我慢をして若手に経験を積ませたからこそ今年のシーズンで花が開いたのだと思いますね。 資料を見るとこの圧倒的な勝利数(87勝=9月29日時点)でありながら2ケタ勝利投手が2人しかいないんです。それでも勝ってしまうソフトバンクの強さはすごいと思いますね。そこはやはり移籍してきた山川(山川穂高)の今季に懸ける思いの強さが大きかったのでしょう。打率.251ながら34本塁打、98打点を挙げていて立派です。 それとやはり近藤(近藤健介)の活躍も大きいですね。打率.314とともに得点圏打率.324もある。相手バッテリーからすると、どんな状況でも打たれてしまう感覚が常にあったのではないかと推測しますね。近藤に回すと危ないという相手チームの過剰な意識が、打線にもさまざまな好影響を与えたのかなと。 それともう一人、柳田(柳田悠岐)のケガのあと、6月以降、三番を担っていた栗原(栗原陵矢)です。彼のこれまで以上の早さでの成長は非常に大きかったと思います。三番打者として17本塁打に80打点は素晴らしいですね。四番、五番に山川、近藤が控えているだけに、三番でこれだけの活躍をしてもらえたら小久保監督も打線に関しては楽な部分が多かったのではないかと感じますね。でも、やはり個々の日々の練習の賜物が大きな結果につながりましたね。 『週刊ベースボール』2024年10月14号(2024年10月2日発売)より
週刊ベースボール
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