津波経験を胸に貢献 福島県いわき市小名浜消防署の救助隊員新妻さん 能登地震被災地でボランティア
福島県いわき市の小名浜消防署の救助隊員新妻拓弥さん(32)は、能登半島地震の被災地で重機を操縦する技術系ボランティアに励んでいる。 石川県では一般ボランティアを制限しているが、専門的な技能や知識を持った人材は受け入れている。重機の操作資格を有する新妻さんは休暇を利用し、11、12日に新潟市、16~18日に石川県輪島市で合わせて5日間活動した。輪島市では常磐消防署の小島巧也さん(36)と行動を共にした。 輪島市の被災地は家屋が軒並み倒れ、震災の爪痕が深かった。家屋に埋まった車4台を引き出し、家の中から位牌(いはい)や現金などの貴重品を取り出した。住民は涙を流しながら「ありがとう」と声を絞り出したという。 東日本大震災の被災体験が、ボランティアに突き動かした。津波で自宅が流された。途方に暮れていた際、助けてくれたボランティアや消防署員の存在が前を向く力になった。「人の役に立てるような消防職員になりたい」。当時勤めていた職場を辞め、23歳で消防の道に入った。昨年春に県内で唯一、重機隊のある小名浜消防署に配属され、技術を磨いている。
新妻さんは「東日本大震災や2回の水害を経験し、被災した人の気持ちが痛いほどわかる」と心を寄せる。「まだまだ重機のニーズはある」と、2月上旬にも珠洲市に向かう予定だ。