阪神・門別の現在地 3回6失点の巨人戦で得た教訓とは 先輩達の言葉を胸に再昇格目指す
期待の高卒2年目左腕の阪神・門別啓人投手(19)は壁にぶつかりながら、奮闘を続けている。5月3日・巨人戦(東京ド)で今季初先発したが、3回6安打6失点と苦しみ、プロ初黒星。現在は先輩たちの助言も胸に、ファームで鍛錬の日々を送っている。悔しい経験から見つけた課題とは。岡田監督も期待を寄せる19歳が再び1軍のマウンドを目指し、課題と向き合う姿に迫った。 ◇ ◇ 初回2死を奪うも、四球を与えると、そこから止まらない巨人打線…。二回には岡本和にとどめの一発を浴びた。「初めてぐらい打ち込まれたんで。考えられなくなったって感じでした」。今季初先発に緊張はなかったが、感じていた1軍特有の緊張感。頭が真っ白になり、プロ入り後初めて焦ったマウンドだった。 メンタル面を楽にしてくれたのは先輩たちだった。「(伊藤)将司さんとか村上さんとかに『誰でもああいうのあることだから』と言ってもらって」。門別は今季中継ぎとして3試合で4回無失点と好投していたが、岩貞には「中継ぎでいいことも先発だったらマイナスになることもある」と教わった。門別自身も「中継ぎだったらしっかり間を取っていたけど、先発では変に間延びしちゃった」と気づいた部分はあった。 巨人戦では、ファウルを取れていた直球に「1軍で通用しないわけではない」と感じた。ただ、決め球が真ん中に入り、打ち込まれた。力みも原因だったが、何より悔やんだのが、捕手とのコミュニケーション。「梅野さんがバッターに対して何を考えているのかが、わかっていなかった」と反省を口にした。 試合後、梅野とも40分ほど話した。梅野からは「自分の球でこうやったらいけるだろう、というのが強かった。相手がいることだから、お互いゲームの中で気づいたことを話して。意図を持って投げていかないと」といった助言をもらった。武器の直球を生かすためにも、捕手と対話し、配球をしっかり考え、意図を持って投げることの大切さを知った。 降格後はウエスタンで3試合に先発する中でその課題とも向き合っている。18日の同・中日戦(ナゴヤ)では三回2死満塁。ディカーソンにカウント2-2と追い込んでから捕手・藤田のサインは変化球だったが、門別は首を振り、直球を投じた。結果は左前への2点適時打だった。 「変化球を投げていたら抑えられていたと思う。真っすぐが良くなってきていて、こだわりすぎたかなと。こだわるところはこだわっていいけど、ああいう場面は、抑える配球をしないと」。門別はこれまで直球で押すスタイルを貫いてきた。その姿勢は変わらないが、臨機応変に対応しないといけない時もある。そう気づき、考え方に少しずつ変化が表れていた。 安藤投手コーチは、門別について「見直してほしいのは全部。コントロールも球威もキレも体力も」とあえて厳しく話した。ただ、「壁を乗り越えて、レベルが上がっていくと思うので。しっかりファームで取り組んでいってほしい」と期待も込めた。門別は降格直後から「しょげても何もならないんで。次は同じ失敗しないように」と前を向いていた。今度こそ1軍のマウンドで快投し、初勝利できるように-。成長を続け、名前が呼ばれる日を待つ。