足元の決算が好調でも、2Q以降の「急減速」に注意が必要
10月下旬から第2四半期決算が本格化します。第1四半期決算が好調だったため、この勢いが持続するような期待もありますが、むしろ業績の減速に注意が必要そうです(maruco / PIXTA)
原油のWTI価格が一時80ドルを突破した。資源価格が上昇するなかで、消費が盛り上がるヨーロッパやアメリカでは、企業が原材料やエネルギーコストを製品価格に転嫁することでインフレが加速することが心配される。 一方、消費が停滞し、企業がコスト増を製品価格に転嫁しにくい日本では、インフレの心配は少ないが、その分企業の利益圧迫が懸念される。 改めて、日本企業の収益状況をみてみよう。日本の実質GDP成長率は2021年の1~3月の前期比マイナス1.1%のあと、4~6月にプラス0.5%とプラスに転じた。ただ、1~3月の落ち込みを取り戻せておらず、停滞が続いている。 そうしたなか、4~6月の企業の決算は予想以上に良かった。ブルームバーグによると、TOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)は1~3月の28.8から、4~6月に39.1と大幅に増加した。2020年4~6月のEPSは12.0で、前年同期比では3倍以上に増加している。 4~6月の好決算を反映してか、10月1日に発表された日銀短観(9月調査)では、2021年度の全規模・全産業の経常利益は前回6月調査時点から5.4%上方修正され、前年度比15.0%増と2桁増益が見込まれている。 では、全般的に経済活動の低調な推移が続くなかで、利益が増加しているのはなぜか。財務省の法人企業統計を使って、詳しく分析してみよう。
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新見 未来