米国債ショート膨らむ、FRB予測で利下げ観測後退するリスクに備え
(ブルームバーグ): 債券トレーダーは、米金融当局が年内利下げ観測を後退させるリスクを考慮し、米国債ショートを積み上げるとともに、相場急落に備えるデリバティブ(金融派生商品)を購入している。
19、20両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では政策金利据え置きがほぼ確実視されているが、取引データからは、金融緩和への一段の慎重姿勢を表す新たな金利予測が示されるとの見方が強まっていることがうかがえる。
昨年12月の米金融当局者の金利予測分布図(ドット・プロット)では年内3回の0.25ポイント利下げ予測が示されたが、それ以降、経済は驚くほどの力強さを示し続け、インフレ率は当局の目標を上回っている。
シット・インベストメント・アソシエーツのシニアポートフォリオマネジャー、ブライス・ドティ氏は顧客向けリポートで、「債券市場は20日の当局のタカ派的なメッセージに備えている」と述べた。
当局が金融緩和を急ペースで進める見通しの後退に伴い、債券利回りは今年に入り上昇。投資家の損失は膨らんでいる。12月下旬時点では、先物トレーダーは当局が3月会合までに利下げを開始し、年末までに計6回の利下げを実施すると予想してきた。
それ以降、トレーダーは見通しを修正し、年内3回前後の利下げを見込んでいる。しかし、今度の新たな金利予測で政策当局者がさらに少ない利下げ回数を予想していることが示された場合、新たな売りを誘う可能性がある。
ジェフリーズのシニアエコノミスト、トム・サイモンズ氏は顧客向けリポートで、政策当局者が示す年末時点の政策金利予測の中央値を4.88%前後と予測。これは0.25ポイントの利下げ2回に相当する。同氏はこの利下げ回数について、株価上昇で明らかなように今年に入って金融状況が緩和していることに対応すると説明した。
しかし、今年後半に金利が引き下げられるという観測は依然として広まっており、国債市場には強気の兆しも残っている。JPモルガン・チェースの最新顧客調査によると、ショート取引が増加している一方で、アウトライトのロングポジションも増えており、現在は1月29日以来の規模になっている。