『R-1グランプリ』史上初の快挙も! お笑い界に誕生した「社会人芸人」とは?
現在の「わらリーマン」は4つの柱が中心だ。 「まずは月に1回行なわれる定期ライブです。そして『社会人漫才王』『全日本アマチュア芸人No.1決定戦』と今年からスタートした『企業対抗お笑いバトル』。定期ライブは誰でも気軽に舞台に立てるオープンな場、社会人漫才王と全日本アマチュア芸人は、ネタに磨きをかけたい人へ向けたステージ、企業対抗は社会人お笑いならではの活動につながったらいいなという思いで立ち上げました」 こうして、ネタを磨きたい人が集まる全日本アマチュア芸人No.1決定戦2023年大会で優勝したのが、今回の『R-1』決勝に進出した、どくさいスイッチ企画だった。 「この大会は大学生芸人も参加できて、決勝に進出するのは彼らのほうが毎年多いですけど、いつも僅差で社会人芸人の方が優勝しています」 大学生芸人出身の社会人芸人は、キャリアはあるものの練習時間は圧倒的に少ない。そんな中、この大会で優勝する社会人芸人はアマチュア界の猛者といえるだろう。 ■『M-1』の存在が目標になる 社会人のための定期ライブや大会を手がける奥山氏だが、社会人お笑いが盛り上がる一番の理由はプロの大会の存在だと考えている。 「『M-1』『キングオブコント』『R-1』がアマチュアでも参加できる大会なのは大きいですよね。プロの方が本気で挑む大会なので、この大会で勝ち進めば自信がつく。去年は1回戦で落ちたけど、今年2回戦まで行けば、腕が上がったと実感できる。こういった誰にでもチャンスがある大きな目標があるというのはありがたいですね」 マラソンを趣味とする市民ランナーの間では4時間以内に完走することを「サブ4」、3時間以内の「サブ3」というが、社会人芸人もそのような感覚で目標を決めてコンテストに出ているのだろう。 ■社会人になってからお笑いを始める人も
そんな社会人芸人は今後も増えていくのか。 「定期ライブの感じからいうと、最近はライブにエントリーする社会人芸人の方も観客の数も増えているので盛り上がっていると思います。立ち上げた当初は大学お笑い出身者がほとんどでしたが、今は『社会人からお笑いを始めました』という方がたくさんいて、元大学生芸人と社会人からお笑いを始めた芸人の割合が半々ぐらいです。 今後は30代、40代でお笑いを始める人とか、管理職の人が社内の空気を和らげる勉強を兼ねてお笑いを始める、定年後に趣味で始めるなんてケースも出てくるかもしれません」 最後に、どくさいスイッチ企画の『R-1』決勝進出について聞いた。 「社会人をやりながらでも、プロでもなかなか出ることができない舞台に立てたのは、社会人芸人にとって大きな目標になると思います。彼は大阪のアマチュア芸人が集う舞台を中心に活動されていますが、これを機に、見ても出ても楽しめるアマチュア芸人、社会人芸人という存在をたくさんの人に知ってもらいたいですね」 『R-1グランプリ』決勝戦は3月9日(土)午後6時30分から生放送される。どくさいスイッチ企画はこの舞台でどんな爪痕を残すのか。社会人芸人の活躍から目が離せない。 ★社会人お笑いの実力者 ・全日本アマチュア芸人No.1決定戦2022優勝 夕げ 「コンビやピンなど、6つのお笑いユニットで活動している」という鈴木マキアートさん。その理由は、面白いネタをキャラに合わないからとボツにするのがもったいないから。鈴木さんは社会人お笑いライブを主催するなどお笑い活動を満喫。石井さんも別ユニットでお笑い活動を行なう。実力コンビでも多彩な楽しみ方でお笑い活動をするのはアマチュア芸人ならでは。 ・社会人漫才王2022優勝 イクラボブチャンチャン 「名古屋・大阪で社会人芸人をしてましたが、相方がプロになるため解散。その後東京に来て、社会人ライブでピン芸をやっていた、いとやまくんに声をかけました」とゴウダさん。転勤がキッカケで誕生したコンビは結成1年目に大会で優勝。現在は平日に1度のネタ打ち合わせをし、週末にライブに出演。いとやまさんは「去年は『M-1』で3回戦敗退。今年はもっと上を」と語る。 取材・文/渡辺雅史(リーゼント) (C)カンテレ