源氏物語54帖すべてをガラス作品に…「生きているうちにつくりたい」 平安文学は今もイメージの源泉
完成まで3年「生きているうちに54帖すべてを」
作品のガラスは、気泡が入っていないガラスを集めて、ふたたびとかし、研磨作業をするところから最後まですべて一人で担います。 截金に使う金箔も自身で制作し、筆で1本1本、1枚1枚、ガラスの上に貼りつけていきます。 気の遠くなるような作業のようすは、展覧会の作業風景の動画で紹介されています。 今回、展示されている<第三帖「空蝉」><第四十五帖「橋姫」>は、それぞれ完成まで3年、2年半かかっているそうです。 現代のいまもアーティストにイメージを与える源泉となっている平安文学。 展覧会の学芸員は、「『源氏物語』は絵巻物などが連綿と作られ続けていて、山本先生に至るまで、現在もインスピレーションを与えています」と指摘します。 現在、54帖のうち22帖を制作したという山本さんは、「『源氏物語』に導かれて、ここまできた人生。54帖すべてを制作したいので、工房に引きこもって、全身全霊をかけ、出家するつもりでつくりあげようと思っています」と語ります。 「土佐光起の紫式部図と同じ空間に自分の作品が展示されるなんて夢のよう。『私の作品はどうですか』と伺いたい気持ちです。14歳の私に、『こんなに素敵な美術館と企画で展示してもらえるすばらしい機会があるよ』と伝えたいです」と話していました。 <展覧会 平安文学、いとをかし ―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ> 会期:2025年1月13日まで 場所:静嘉堂文庫美術館・静嘉堂@丸の内 詳細は公式サイト(https://www.seikado.or.jp)まで