過去3年、厳選の服9点を展示 松工卒業生が松阪木綿で作る 三重・松阪
来月6日まで原田旧宅で
三重県松阪市殿町の原田二郎旧宅(松本吉弘館長)はきょう27日から同旧宅で、近くの県立松阪工業高校繊維デザイン科の卒業生たちが松阪木綿を使って制作した被服の作品展を開いている。5月6日までで入館料100円(18歳以下は無料)。 原田二郎は1849(嘉永2)年、松坂町奉行所に勤める同心の家に生まれた。明治維新後、27歳で大蔵省に就職し、第七十四銀行(横浜銀行の前身)の頭取を務めた後、大阪の鴻池銀行の再建にも成功した実業家。1920(大正9)年に社会公益事業に対して助成活動を行う財団法人原田積善会を設立した。同会は原田が生前、学校教育への助成に注力したことからその意志を継ぎ、若者たちを支援している。 今回の展示は同会が、原田の功績を周知するとともに、郷土の高校生たちの活動と、現代の感性から生まれた新しい松阪木綿の魅力を知ってもらうことを目指して、同校に呼び掛けて実現した。 同科の生徒は毎年卒業に向けて数人のグループで、松阪木綿を使った作品を制作してファッションショーを開いている。今回は過去3年間のショーで披露した中から9点を厳選し展示した。 オリジナルの縞(しま)柄を織った反物や、江戸時代の浮世絵師・歌川広重の作品をヒントに、滝をイメージした刺しゅうを施したワンピースなどが並んでいる。 旧宅の施設管理者・青木律さん(64)は「若い感性から生まれた新たな松阪もめんの魅力を、趣がある市有形文化財の原田二郎旧宅で堪能していただけたら」と来場を呼び掛けている。