全員ピッチャーになろう!「全員ピッチャードリル」|高校野球の元監督が少年野球の「お父さんコーチ」になってみた
多くの子がピッチャーができるようになれば、指導者視点ではエースの子に負担を集中させることなく多くの試合が行えることができるようになります。選手視点でも、バッターと対峙する経験が野球の幅を広げてくれることに繋がりますし、ゴールデンエイジ期に正しい体の使い方でのピッチングフォームを身につけておくことが、その後のステージでの可能性を広げてくれる事にも繋がります。今回は「全員ピッチャードリル」と題して、元川和高校野球部監督の伊豆原真人先生に、全員がピッチャーができるようになるためのドリルを教えてもらいました。 【動画】全員ピッチャーになろう!「全員ピッチャードリル」 全員ピッチャードリル ① ボールの握り方 ・人差し指・中指を上、親指を下にして握る。親指が横にならないようにしっかり上下で握るようにする(人によっては中指がボールの真ん中を捉えられない子も多くいる。そのような握りだと多くはスライダー回転してしまう)。 ・投げる時は人差し指を相手に向けて投げるイメージ(いわゆるスナップスロー)。 【ポイント:キャッチボールの時からボールの中心への指のかかりを意識する】 ② 股関節に体重をのせる ・軸足を膝丈くらいの高さの台に乗せ、軸足はつま先だけをつける(写真1)。 ・前足は膝を曲げず、つま先は相手に真っ直ぐ向ける。 (写真1) ・ボールを投げる。投げ終わったら胸が地面と平行になるくらいまで前傾する(写真2)。 ・ボールを投げるときは左目でキャッチャーを見て投げ終わったら右目で見る。目の入れ替えをするイメージ(右投手の場合)。 (写真2) 【ポイント・前足の股関節に体重をのせる感覚を養う】 ③ ボールのリリース ・前方のボールの受け手に対して体を半身にする。左肩と左足(右投げの場合)を平行に、お尻も横向き。 ・ボールを頭の横につける(写真3)。 (写真3) ・肩甲骨を後ろに引き、肘は肩よりも後ろに入れて胸を張る。 ・肩は回さずに肘だけを入れる(投げる時に胸を張るのではなく、体が半身の状態で胸を張る)。 ・グラブを持っている手は親指を下にする。 ・後ろ側の股関節から始動するイメージで、後ろの膝はしっかり立てておく(写真4)。 (写真4) ・ボールを持っている手をおろしてリリースする。「投げる」のではなく「下におろす」イメージでリリース。 ・リリースする際は前足の膝が曲がらないように注意する。膝ではなく股関節で体重を受けてあげるイメージ(写真5)。 (写真5) ここまでを繰り返し練習したら、グラブを持っている手で勢いをつけて投げる。この際、軸足の膝が曲がらないように注意する。膝が折れてしまう場合は大人が膝を支えてあげるなどして補助する(写真6/膝を固定するのではなく支えてあげる)。 (写真6) 【ポイント:骨盤と肩甲骨をしっかりまわすことを体で覚える】 ここまでの内容を意識して10球ほどキャッチボールを行います。 大事なことは、これらは「ドリル」用の投げ方であり、この投げ方を試合で実戦することが目的ではないということです。日頃の練習では意識して練習は行いますが、優先すべきは子どもの感覚と感性です。「10」教えたことが翌週には「1」しか残っていないこともありますが、小学生はそれが当たり前です。翌週に「1」でも残っていることを𠮷として、根気強くドリルを繰り返すことで、無意識にその子の投げ方の中にいくつかの要素が取り込まれるます。根気強くドリルを毎週行うことが大切です。 <動画で解説> (協力・早渕レッドファイヤーズ)
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