【解説】生成AIの広がりで電力消費が爆増…エネルギー基本計画どう見直す?
■何から電力を得るのか 「エネルギー基本計画」どう改訂する?
AIはエネルギーを食う。だが、やめられない。では、エネルギーをどう賄うべきか? 日本は「2050年までに温室効果ガスの排出量を全体として実質ゼロにする」というカーボンニュートラルの目標を決めている。そのためには、今より火力発電を減らし、再生可能エネルギーと原子力発電を増やす必要があるとされている。 国内の発電電力量に占める原発の比率は、2022年度時点でおよそ5.6%にとどまっているが、政府はこれを2030年度には20~22%まで高めることを目標としている。 4月15日、東京電力は、ようやく原子力規制委員会の承認を得て、新潟県・柏崎刈羽原発7号機の原子炉への核燃料装填(そうてん)作業を開始した。原子炉を起動するための法律上最後のプロセスとなる。しかし、このプロセスとは別に、地元の同意を得る必要がある。 原発をめぐっては、日本は世界で最も厳しいといわれる審査基準を設け、安全性を高めているとする一方で、地元住民の不安や、核のゴミをどこに処分するのか決まっていないことなど、解決できていない問題があるのも事実だ。
■「エネルギーが即『国力』」
こうした中、エネルギー分野で影響力を持つ経済界のある大物は、こう言う。 「生成AIを含め、今後の『エネルギー(=即国力)』を考えれば、安全が確認された原発の再稼働は、やらざるを得ないでしょう」。 国力の維持・強化に、生成AIをはじめとするデジタルの活用は必須で、そのためにはエネルギーがいる。エネルギーの供給量やコストが国力を左右する。 では、どうエネルギーを賄うのか。火力は? 火力を減らさなければ、地球環境の破壊を食い止めることはできない。再生可能エネルギーは? それだけでは安定的な電力供給を得ることは難しい。 政府は、近く「エネルギー基本計画」の改定に着手する。見直しの際には、AIの活用拡大で増えることとなった電力使用量も反映して、日本が目指す電源構成を決める必要がある。これまでには、電源構成は2030年度しか明示されていないが、次の基本計画では、2035年度の目標も定める見通しだ。産業界と連携して、より実現を可能とするロードマップを策定する必要がある。