「部活動から勉強という流れが生活リズムになっている」県立浦和 本田哲也監督
東大に36人、早大が111人で慶大が67人、国公立大医学部21人、私立大医学部23人。昨春、埼玉県立浦和高校の難関大学合格者数である。1895年(明治28年)創立の第一尋常中学校を前身とする同校は、県内屈指の進学校として知られ、各界に著名人を多数輩出している。 2024年新入部員を発表した関東の大学一覧 宇宙飛行士の若田光一氏、今上天皇の冠動脈パイパス手術の執刀医である天野篤氏、歌手のタケカワユキヒデ、戦後日本を代表する思想家、評論家の福田恆存らは県立浦和の卒業生だ。 文武両道を意味する「尚文昌武」という校訓通り、勉強と部活動に全身全霊を傾けるのも伝統だ。サッカー部はかつて全国高校選手権を3度制したこともあり、埼玉の高校界をリードした存在だった。現在指揮を執るOBの本田哲也監督が目指すサッカー部とは、形成したい浦高生像とは。文武に全力を尽くす意義などを伺った。 ――対戦校のスカウティングは生徒が担当することも少なくないそうですね。 はい、指導陣が視察することはほとんどなく、時間が取れた時くらいです。生徒がビデオ撮影したものを選手同士でミーティングして、それをノートにまとめて私に渡してくれるんです。課題があったらこちらで提示します。うちではそのほか、ゲームのたびに生徒が試合状況など細部にわたってノートに記入します。試合後の選手間ミーティングで出た課題や良かった点などをまとめたものを私がチェックし、気が付いたことを書いて生徒に返します。彼らがそこで感じたことを練習で確認し、すり合わせるのです。 ――なるほど、いかにも浦高生らしですね。選手からのアプローチは盛んですか? やはり自分で考えられる選手は1、2年生ともいますね。私が試合中に指示したことに対し、「自分はこう考えた末にこうしたプレーをしたのですが、先生の指示をどう解釈したらいいのですか?」といった感じです。私からは「君の考えはよく分かるけど、チームとしてこう戦いたいからああいう指示を出したんだ」と回答します。でも、こうした会話ができることって本当に楽しいですね。疑問点を追求してくる選手というのは信頼できます。言われた内容をさらに理解したいという思い、探求心があればこそですから。