「単独親権」制度は“違憲”と主張する国賠訴訟の控訴審に判決 「自然的親子権」の訴えは認められず
2月22日、離婚の際には両親のうち父母いずれかを子の債権者としなければならない「単独親権」制度は違憲だとして、国に損害賠償を求める「共同親権国賠訴訟」の控訴審判決が出された。
単独親権制度を放置する国の「立法不作為」を問う
本訴訟は単独親権制度を放置している国会の「立法不作為」を問い、2020年10月に提起されたもの。2023年4月に地裁により棄却、同年5月に控訴されたが、高裁も棄却の判決を出した。 原告側の主な訴えは、「単独親権制度は自然的親子権と人格的利益を侵害する」というもの。親子が関係を築いていくことを妨げられない権利・自由は双方の「人格的生存」「人格的利益」にとって不可欠なものとして憲法13条によって保障されているため、単独親権制度を規定する民法819条は憲法に違反する、と主張している。 国側の主張は「憲法13条があるとしても、親に問題がある場合には国家の介入が必要になる。養育・監護の自由を適切に保護するためにも、それらを調整する立法が必要」というもの。 15日、法制審議会(法相の諮問機関)は離婚後にも父と母双方に子どもの親権を認める「共同親権」を導入するなどの法改正に向けた要綱を法務大臣に答申した。原告側は法制審の判断は判決にも影響を与えるとして弁論再開を申し立てたが、裁判所は拒否。 判決後の会見では、弁論再開が拒否されたことについて、佐田理恵弁護士は「大変、残念と考えている」と遺憾の意を示した。
「親子関係は引き裂かれたままだ」原告の所感
同会見で、原告の女性1名と男性2名が、判決に対する所感を述べた。 「離婚しても面会交流制度があるから子どもに会える、それでいいじゃないか、と言われる。だが、私たちは“自然的”親子権を訴えているのであり、面会交流で子どもと会うことは全く自然でない。こういう訴えが判決で考慮されていないことは非常に残念だ。」(原告女性) また、地裁の判決では単独親権制度は「差別的であるが合理的」とされていた。しかし、今回の判決文では「差別」が「区別」と改められていた。これについて原告女性は「非常に後退している。悲しい」と語った。 「現在の日本で起こっている親子の断絶、これがまだ続くかと思うと、非常に心が苦しい。対処法がないことに、苦しんでいる。まだ親子関係は引き裂かれたままだ。この法律を、自分の子の世代にまで残したくない。」(原告男性A) 原告男性Bも「娘とずっと断絶している。配偶者と離婚することで子どもとも断絶する、というのは苦しい」と語る。 また、地裁の判決では、親権を取得しなかった原告らには、単独親権制度そのものによってではなく、親権を取得した側による「親権の濫用」によって損害が生じていると認められていた。だが、高裁判決では「親権の濫用」に関する損害も認められず。 「判決文から“親権の濫用”が削除されたことは後退だと思っております。通常国会や自民党法部会では共同親権の導入に向けて進められているのに、私たちの主張が認められなかったのは非常に残念だと思います」(原告男性B)