原料高騰、円安追い打ち もやしが値上げピンチ
過去できなかった小売価格の値上げ
同協会の理事長・林正二さんは、小売店との値上げ交渉についてこう語ります。 「実はこのような通知をしたのは過去にもありますが、さすがに今回の高騰に関しては、生産者さんと小売店さんで価格の交渉が続いている中で、小売店さんにも現状の理解をしていただいています。しかし『では来月から(小売価格を)上げましょう』というのは全国各地さまざまな事情もあるので、今後具体的にどのように価格に反映されていくかは調整中です」 しかし、もやしといえばスーパーの中でも「値段が安いのにおいしい野菜」の代表格。安いのが当たり前、という中で値上げがしづらいという状況もあります。実際、以前同様の声明が出された時(2011年)には、実質的に値上げは行われませんでした。 「現在のもやしの小売価格の全国平均は1袋29円ですが、これが38円になればもやし生産者の生活が守れます。現状のままでは、利益を出せるもやし生産者はいません。納入価格は3倍になりつつありますが、小売価格を3倍にしてほしいというお願いではないのでご理解いただければと思います」と林理事長は訴えます。それでは価格を上げる以外の方法はないのでしょうか。 「今高騰しているのが、世界中の緑豆の中で最ももやしに適している中国産のものなんです。他国の緑豆はここまで高騰していないので、安く仕入れるためには原料を変更すれば良いのですが、今日本で販売されているもやしのような、味も見た目も良いもやしを提供できなくなってしまいます」(林理事長)
緑豆輸入のピークを乗りきれるか
このように、もやしの原料種子の高騰は今後、私たち消費者にも影響を与えることが懸念されます。では、もやしを食材として大量に使用している飲食店ではどのように考えているのでしょうか。 北海道を中心に全国10店舗(フランチャイズ含む)のジンギスカン店を経営している株式会社マツオ(本社・北海道滝川市)の松尾ジンギスカン滝川本店によると、「仕入れ先から仕入れ価格値上げの要請もありませんし、他店舗からも同様の話は聞いておりません。しかしながら年間1トン以上のもやしを仕入れていますので、今後何かしらの影響があるかもしれないとは思います。現状では様子見の段階ですね」とのこと。 間もなく緑豆輸入のピークが見込まれる4月を迎えます。小売店との価格交渉が続けられる中、もやし価格はどうなっていくのでしょうか。 (ライター・橋場了吾)