「チーム」としての集中を高める手っ取り早い方法 リモートワークはチームとしての集中には不向き
■行動を同期させるルーティン では、どんな行動がチームの集中力を高めるのか。東北大学の知見と私の経験からいくつかご紹介したいと思います。 まず、有効なのが「行動を同期させるルーティン」です。たとえば「昭和のルーティン」として知られている「朝礼」「ラジオ体操」「社歌を歌う」などは、行動を同期させるという意味では実はとても効果的です。今の若い人には受け入れられないかもしれませんが、実際にはベンチャー企業でもこうした活動をしているところはあります。
その意味では、コロナ禍で一気に浸透したリモートワークは、チームとしての集中には不向きと言わざるを得ません。現在はコロナ禍も明け、再び出社する会社も増えましたが、在宅でもよいと勤務スタイルの選択肢を増やした会社もあります。毎日全員が出社といかなくても、たとえば週に1度、月に1度は集まって何か同じことを全員でやる、という施策が必要かもしれません。 特別なことをしなくても、出社して周りの人と一緒に働いているという感覚を持つことも十分「行動の同期」になります。私も学生時代、家で勉強するより塾の自習室で周りに人がいる中で勉強したほうがはかどったものですが、これも行動の同期だったのだと思います。
ちなみに先日見たあるニュースで、「受験勉強をする際、手元だけをお互いに映して共有している」というものがありました。Z世代もやはり、自分なりの方法で行動の同期を図っているのだなと感じました。 ■チームの力を発揮するための「前提条件」 もう一つ、「明確な目標を示す」こともまた、チームの集中力アップには欠かせない要素です。たとえば、スポーツは「勝つ」という目標が明確なので、チームとして集中状態に入りやすいともいえます。もちろん、仕事にも本当は目的があるはずなのです。
しかし、日々の仕事に追われているうちに、「何のために働いているんだっけ?」とか「この仕事をやることで、本当に売り上げは上がるのか?」「世の中のためになっているんだろうか?」というような、疑問、雑念が浮かんでしまうことがあります。逆に言えば、そうした集中を妨げる要素を排除し、スポーツのチームと同様に明確なアウトプットをリアルにイメージさせることができれば、チームの集中力は格段に高まるはずです。 リアル出社とリモートワークを使い分ける「ハイブリッド型」の働き方が課題となっているのは、日本だけでなく、アメリカなどの海外でも同じです。