上野・国立西洋美術館で史上初の現代美術展を開催 内藤礼、小沢剛ら21組の現代美術家を招き、日本における西洋美術館の意義を自問
『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』と題して、国立西洋美術館で初めて「現代美術」を大規模に展示する展覧会が開かれる。会期は3月12日(火)~5月12日(日)の2カ月にわたる。 【全ての画像】『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』広報用画像(全7枚) 20世紀前半までの西洋美術を収蔵/保存/展示する国立西洋美術館には、いわゆる「現代美術」は存在しない。しかし1959年に松方コレクションを母体として開館した国立西洋美術館の成立までの歴史を紐解いてみると、開館以後の同時代を生きるアーティストらが所蔵品に触発され、未来の芸術をつくる刺激の場になってほしいという願いがあったことがわかる。では、国立西洋美術館はそのような土壌となってきただろうか。開館から65年目にあたり、そうした問い直しのもとにこの展覧会が立ち上がった。 参加アーティストは、内藤礼、長島有里枝、小沢剛、エレナ・トゥタッチコワ、ユアサエボシなど、世代もジャンルも幅広い。例えば、日本の近代彫刻史を研究している彫刻家・評論家の小田原のどかは、かねてから思い描いていた国立西洋美術館の所蔵品を活用した展示を行うという。写真家・鷹野隆大は、「歴史的名画が一般家庭に置かれたらどうなるか」というシミュレーションとなる展示を実施。違和感あるいは普遍性を感じるのか、どんな感覚が起こるか確かめたい。 また、日本が西洋美術を受容する近代美術史を顧みながら「美術とは何か」を考え、絵画や陶芸などを制作、私塾やギャラリー運営などにも携わってきた梅津庸一も参加。梅津庸一自身として、また私塾「パープルーム」(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わかもとさき)としても出展する。ほかにも、死者への鎮魂や亡き者への視点を変容させる絵画を描き、空間にインスタレーションする弓指寛治など、国立西洋美術館という枠組みの中で、あるいは枠組みを超えてどのように展開されるのか興味深い。 <開催概要> 『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』 会期:2024年3月12日(火)~5月12日(日) 会場:国立西洋美術館