赤い斑点が…“梅毒”患者に医師「個人だけの問題ではない」過去最多の去年上回るペースで増加
いま全国的に猛威を振るっている性感染症の“梅毒”。石川県内では今年に入ってから12月10日までで、53人が梅毒に感染しています。これは過去最多だった去年1年間の患者数41人をすでに上回っています。 【写真を見る】赤い斑点が…“梅毒”患者に医師「個人だけの問題ではない」過去最多の去年上回るペースで増加 全国でみても年間で1万3000人を超え、統計を取り始めた1999年以降で最も多くなっています。なぜ今、梅毒の感染が広がっているのでしょうか。 30代男性患者 「まさか自分がなるとは思いませんでしたね…」 野々市市に住む30代の男性。今年の夏以降、手首や腹部に発疹が出たり収まったりを繰り返していましたが、痛みやかゆみはなくあまり気に止めていませんでした。 しかし…。 30代男性患者 「(パートナーに)斑点が出ていた。僕の方にも出ていて“何やろね”と話していて」 その後パートナーと病院を訪れると、2人とも“梅毒”だと診断されます。男性は感染経路について思い当たる節もありました。 30代男性患者 「風俗で…。風俗はかからないかなと安心しきっているところがあった」「手首のあたりやお腹全体に赤色の斑点というか、赤みがぽつぽつとまばらに出る」 なかざわ腎泌尿器科クリニック 中澤佑介 医師 「らせん状菌で、6~20マイクロメートルでだいぶ小さい」 病原体は“梅毒トレポネーマ”。主に性交渉で口、性器などの粘膜や皮膚から体内に侵入します。しこりや発疹などの症状が全身に出るほかそのまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの臓器に病変が生じ死に至る場合もあります。 ■医師も警鐘「マッチングアプリで不特定多数と…」 現場の医師は「コロナ禍が始まった数年前から、徐々に患者が増えてきた」と話します。 中澤佑介 医師 「マッチングアプリで不特定多数と性交する人がもっていたり、パートナーが梅毒に感染し受20~50代の性的活動がある年齢の人がまんべんなく来る印象」 特に注意が必要なのは妊娠中の女性です。妊婦が梅毒に感染している場合、胎盤を介して胎児に感染し死産や重い後遺症を引き起こす“先天梅毒”につながる恐れがあります。 中澤佑介 医師 「性感染症は個人だけの問題ではない。不妊につながることもあるので、互いに検査して感染拡大しないようにするべき」 大切なパートナーを守るためにも、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診する必要がありそうです。
中澤医師によれば梅毒は感染力が強く口に病変がある場合には接吻、あるいはコップの回し飲みでも感染するケースがあるということです。 かつて江戸時代には猛威を振るい人々に恐れられていましたが、抗生物質のペニシリンが開発されてからは感染者が急激に減ったという経緯があります。 エイズや梅毒など性感染症の心配がある人のために、県内では9か所の保健所や保健福祉センターで無料、匿名での血液検査が行われていて、症状がなくても心当たりがある場合には無料での検査を利用するよう呼びかけています。
北陸放送