エナジードリンク市場に新潮流 「あえてカフェインフリー」の謎
デートやジムに行く前などにエナジードリンクを飲む若者が増えているという。そのニーズを捉えたのが、カフェインフリーのエナジードリンク「2Energy(トゥーエナジー)」(TWO、カゴメ)だ。カフェインフリーを中心に「3つのギルトフリー」を提案。体に負荷をかけず、ちょっと気分を上げたい時にカジュアルに飲むという、エナジードリンクに対する新しいニーズの受け皿になっている。 【関連画像】「2Energy」(TWO、カゴメ)。23年9月に1都3県のコンビニエンスストアや各種ECサイト、2foods直営店などで発売。2foods店頭販売価格は248円(税込み)。パンチの効いた味わいながら、すっきりとした後味で飲みやすい印象だった ※日経トレンディ2024年4月号より。詳しくは本誌参照 ●【2Energy(TWO、カゴメ)】 若者はエナジードリンクに抵抗感あり?「カフェインフリー」の新顔が躍進 若者の間で、エナジードリンクの飲用シーンが激変している。勉強や仕事に集中したいときではなく、デートやジムに行く前などに飲む人が増えているという。そのニーズを捉えたのが、カフェインフリーのエナジードリンク「2Energy(トゥーエナジー)」(TWO、カゴメ)だ。 根底には、従来のエナジードリンクに対するZ世代の“抵抗感”があるという。TWO代表取締役CEOの東義和氏は「エナジードリンクを飲んで頑張るのは、いわば『エネルギーの前借り』。合理的な考え方を重視するZ世代は、これで損した気分になる人が多い」と説明する。 2023年9月に発売した2Energyはエナジードリンクながら、カフェインをあえて使わない仕様とした。さらに、ゼロカロリー、ゼロシュガーによる「3つのギルトフリー」を提案。体に負荷をかけず、ちょっと気分を上げたい時にカジュアルに飲むという、エナジードリンクに対する新しいニーズの受け皿になっているのだ。 2Energyはプロモーションも独特だ。シンガー・ラッパーを起用し、「アガる」シーンなどをテーマにしたオリジナルのコンセプトソング「2Energy」をリリース。各音楽配信サイトやYouTubeで公開している。YouTube上のミュージックビデオ動画は2024年2月中旬時点で再生回数12万回以上。TikTokでは「踊ってみた動画」が拡散した。 狙いは認知拡大だけではない。東氏は「Z世代に買ってもらうためには、商品の世界観やブランドメッセージに共感してもらうことが必要。単純な広告ではなく、楽曲を通したコミュニケーションは非常に有効」と話す。 飲料で言えば、近年はあえて酒を飲まない「ソバーキュリアス」人口が増えていると言われる。その理由に「二日酔いで時間を無駄にしたくない」という意見もあると聞く。飲料自体に求めるもの自体の変化も、今後さらに顕在化しそうだ。 【ヒットメーカーはZ世代をこう見る】TWO 代表取締役CEO 東 義和氏 ストイックと思われないカジュアルに飲める商品に Z世代には「無理している」「頑張っている」など、ストイックだと思われるのが恥ずかしいという潜在的な意識も感じる。2Energyでは楽曲などを通して、カジュアルに飲みやすいイメージを伝えることも心掛けた。エナジードリンクを飲んで気分を上げつつ、カフェインフリーで体への負担はかけないという点も受け入れられた。
髙田 悠太郎