若手台頭、企画多様化 日本映画界に新たな息吹:総まくり2024年
枠も境界も越える若手たち
若手に目を転じれば「HAPPYEND」の空音央、「SUPER HAPPY FOREVER」、「アイヌプリ」の「ぼくのお日さま」の奥山大史ら20~30代の監督が台頭。海外の映画学校で学んだり米国に拠点を持ったり、あるいは積極的に国際的な合作に取り組み、国際映画祭を足がかりに世界配給を目指すなど、日本の枠を軽々と越えようとしている。線は細いものの、人間洞察や社会への視点を持ち、表現への追求も貪欲だ。遠からず、新たな潮流を作ってくれそうだ。 動画配信サービスの力も無視できない。Netflixの「極悪女王」「地面師たち」「シティーハンター」と日本発のドラマシリーズが世界的にヒットしたのは、意欲的な企画を手厚い製作態勢で支えたから。映画界全体の労働環境にも少なからぬ影響を及ぼしている。2025年には、大手映画会社もますます変革を迫られそうだ。
ひとシネマ編集長 勝田友巳