敵地カナダで55-28のテストマッチ初勝利にも、ジョーンズHC「一貫性は課題」
第2次エディー・ジョーンズが4戦目にして、テストマッチ初白星をマーク! ラグビー日本代表が『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024』初戦でカナダ代表に55-28で勝利した。 【PHOTO】エディー・ジョーンズHC、立川理道、坂手淳史、藤原忍 日本代表は前半にトライラッシュを披露。4分WTBマロ・ツイタマが早々に代表初キャップ&初トライをマークすると、3分後にLOワーナー・ディアンズが長いリーチを生かしてインゴールにボールを叩き付けた。20分FLティエナン・コストリーとワーナーのダブルタックルが決まると、22分にFB矢崎由高のラストパスを受けたFL下川甲嗣が代表初トライ。一気に畳み掛けると思いきや26分にはSO李承信のPGで3点を加点。超速ラグビー一辺倒ではない試合運びを垣間見せた。すると28分ワーナーが相手陣10mラインでのピック&ゴーから走り切り、30分にはニコラス・マクラカン&ディラン・ライリーのCTBコンビでインゴールまでボールを運んだ。37分ターンオーバーから一本返されて38-7で折り返すと、後半は一転互角の展開となった。 後半立ち上がりに李の素早いピック&ゴーでスコアしたものの、その後は日本にとって厳しい時間が続いた。45・50分と立て続けにトライを献上し嫌な流れとなるが、68分にWTBジョネ・ナイカブラが自陣10mラインから独走トライで駆け抜けて50-21。80分にもカナダにトライを許したが、ラストプレーで途中出場の長田智希が相手のパスをインターセプト、そのままトライに持ち込んだ。 収穫と課題が入り混じる中、テストマッチ初勝利を飾ったエディー・ジョーンズHCは試合後、次のようにコメントした。 「我々としてはカナダとカナダで対戦した場合と日本でカナダと対戦した場合、勝利に40%もの差があることを選手全員で共有した。いかにフィジカル面が大切か、いかにボールを動かし続けることが大切かを伝えた。前半は我々のゲームができた。しかし、若いチームにありがちな特徴だが、前のめりになり過ぎた。後半はフィジカリティで押され、ミスも出てきたが、バンクーバーで歴史を変える記録的勝利を上げることができたと自負している」 目指すべき超速ラグビーの実現度を問われると、指揮官は? 「前半は集団的なスピードを持ってプレーできていた。私は集団的なスピードで日本は世界一になれると思っている。後半に関しては集団的にプレーするには停滞した印象がある。これを80分間やり続けることが目標だが、80分間やり続けることは今後も難しい場面があるかもしれない。選手間のコミュニケーションをより深めていかないといけないし、よりコンビネーションを深めていかなければならない」 ジョーンズHCは若いチームに一貫性を求めた。 「後半フィニッシャーが入る時点である程度点差があると、選手たちは簡単なプレーをしがちになる。テストラグビーにおいては、基礎的な部分を丁寧にしないといけない。そういう簡単なプレーがつまらないペナルティにつながってしまう。若いチームにとっていい学びであり、今後修正していかないといけない。一貫性は課題。試合中どうしても興奮してしまうシーンがある。矢崎が無理にパスを通そうとつまらないミスをしたが、はっきり言えばテストラグビーではしてはいけないミス。今後学んでいかなければならない」 ジョーンズHCはツイタマと矢﨑への期待を口にした。 「ツイタマはチームにとって有意義な存在で、すぐれている。左足のキックができるし、ステップもいい。アイルランドのジェームズ・ロウのような存在になれる。 矢﨑はスピードとパワーをまだまだ伸ばさないといけない。ラインブレイクした際、サポートを探すスキルを磨かないといけない。だが、持っている素質とラグビーに取り組む姿勢は素晴らしいので、将来ラグビー界の大谷翔平になることを期待している」 63分にSOに入った立川理道主将、スタートのHO坂手淳史とSH藤原忍はカナダ戦をこのように振り返った。 立川「前半は一人ひとりの役割も明確で、相手のフィジカリティに自分たちのスキルとスピードで対抗し、自分たちのやりたいラグビーができたと思う。後半は修正しないといけない点があったが、次に学びを生かして、80分通して自分たちのラグビーをできるように修正していきたい」 坂手「最初から9・10番がいいアタックを実行してくれた。疲れてきてからは忍のところに3人セットするところでセットが遅れてしまった。そこでもっとFWのハードワークが必要だと思う。いいアタックができた中で、少し前のめりになった時、オフロードとかでもっと足をためていかないといけない。前へ出続けないと超速ラグビーはできないので、FWでもっとハードワークしていきたい」 藤原「フォーカスしていたフィジカルでFWがしっかり前へ出てくれたので、僕のスピードを生かせたし、承信とのコミュニケーションも取れていたので、迷わずアタックできた。前半の終盤からペナルティが続き、後半もペナルティがあり、ハドルで『急がずに落ち着いていこう』と話したが、やはり疲れが出てから我慢するところで我慢し切れずに反則してしまったという感じ」 『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024』プールAはフィジー、サモア、トンガ、プールBが日本、アメリカ、カナダ。日本代表の次戦は9月7日(土)・熊谷スポーツ文化公園 ラグビー場でのアメリカ戦。『アサヒスーパードライ PNC』ファイナルシリーズは9月14日(土)・秩父宮ラグビー場にて5位決定戦と準決勝①、15日(日)・秩父宮にて準決勝②(日本代表が準決勝に進出した場合、準決勝②に出場)、21日(土)・東大阪市花園ラグビー場にて3位決定戦と決勝を開催。チケット発売中。