サウジ移籍後も錆びないカンテのスキル フランスの中盤の選手層は世界一?
注文通りのパフォーマンスで勝利に貢献
デュッセルドルフ・アレーナで行われたEURO2024グループD第1節オーストリア対フランスの一戦は、オウンゴールを誘発したフランスに軍配が上がった。 勝利したレ・ブルーだが、前半は特にラルフ・ラングニックの代名詞であるハイプレスに苦労していた。実際にオーストリアは1試合で27回のタックルに成功しており、被害を最小限に抑えている(数字は「Opta」より)。 そんなオーストリアに対し、ディディエ・デシャン監督はエンゴロ・カンテを先発に選んだ。 2023年6月にチェルシーからサウジ・プロリーグのアル・イテハドに加入したカンテ。欧州から離れたことで、代表に呼ばれることもなくなったが、今回はレアル・マドリーのオーレリアン・チュアメニが負傷明けという事情もあり、本大会前の親善試合でフランス代表に復帰を果たすと、オーストリア戦ではアドリアン・ラビオとダブルボランチを形成。フルタイムを走り抜き、英『Daily Mail』の試合後採点では、両チーム通じて最高得点となる10点中8点を獲得。「サウジアラビアでプレイしているにもかかわらず、トップレベルのパフォーマンスを披露した」と賛辞を送っている。 称賛は各方面から届いており、元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーンは「まるで若い頃のカンテのようだった」と年齢を感じさせないパフォーマンスを絶賛。欧州を離れて早1年が経過したが、そのスキルは衰えてはいなかったようだ。 未だ自身がトップレベルであることをカンテが証明し、フランスの中盤はより盤石の布陣となった。カンテ、ラビオ、ユフス・フォファナ、チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガの5人からデシャンはダブルボランチを選ぶことが可能であり、誰を選んでもある程度のクオリティは保証される。 EURO2024に出場するチームで、これほどまでに中盤の守備的なポジションが充実している国はあるだろうか。中盤はチームの安定感に直結するポジションであり、次節オランダ戦ではどのコンビが選ばれるのか注目したい。
構成/ザ・ワールド編集部