日本人ハリウッド俳優が語る…『SHOGUN 将軍』で真田広之が勝ち取った地位は「日本人で最大級」と断言する理由
今年の2月27日から米FXチャンネルで放送、日本ではDisney+(ディズニープラス)で配信が開始された超大作ドラマ『SHOGUN 将軍』。本作は、ハリウッドで活躍中の真田広之さんが主役・プロデューサーを兼任していることも注目を集めている。 【写真】日本人だけが知らない「日本の強さ」の正体…アジアで見た意外な現実 これまで、ハリウッド映画に登場する日本描写のなかには違和感を抱いてしまうものも多かった。 これらの描写がなぜ生まれ、『SHOGUN 将軍』を経てどう変革していくのかについて、織田信長をモデルにした黒田信久役で本作にも出演されている、ハリウッド俳優の尾崎英二郎氏に伺った。(以下、「」内は尾崎氏のコメント)
日本人俳優として最大級の発言力と指揮権を勝ち取った真田広之
俳優・真田広之の存在について、尾崎氏はこう分析する。 「真田広之さんは2003年の『ラストサムライ』でハリウッドに進出し、7ヶ月に及ぶ撮影では時代劇の経験値を生かし、監督やスタッフたちから信用を勝ち取っていきました。撮影終了後も米国に残り、仕上げ作業にも助言を求められた話は有名です。その後も話題作に名を連ね、北米市場での人気を高めてきました。 近年の快進撃の波に関して海外のメディアからルネッサンスになぞらえて『The Hiroyuki Sanadaissance』と称されたほど、その“情熱、忍耐、ストイックな姿勢”は製作陣を唸らせ、幅広いファン層を魅了してきたのです」 本作でプロデューサーも兼任した真田さんだが、そこに到達するまでの道のりは想像を超える闘いだったはずと尾崎氏は語る。 「ハリウッドでは日本人が大勢で出演できる物語は少なく、通常、日本人役1人で出演する場合に通訳や取り巻きのスタッフはおらず、すべての事柄に自分で対応しなければなりません。文化や言語考証の担当がいないこともある中で日本描写やセリフを改善したいときには、製作陣らを相手に根気よく変更意図を説く必要があります。数十~数百億円の予算が動く作品で対等に議論を重ねていくには、冷静かつ辛抱強い人柄と説得力が問われます。それを真田さんは20年間もやり続けてきたのです。 『SHOGUN 将軍』において、すべての部門に意見を反映できることは、日本人俳優として過去最大級の権限といっても過言ではないと思います」