「この舞台でも自分の強みや成長した部分が出ていた」高橋藍、セリエA準Vも決勝4試合全セット先発で2ケタ得点
◆バレーボール男子 ▽イタリア1部 セリエA プレーオフ決勝第4戦 モンツァ1(25-19、23-25、25-27、20-25)3ペルージャ(28日、イタリア・モンツァ) 日本代表の高橋藍(らん、22)が所属するモンツァは、ペルージャにセットカウント1―3で敗れた。通算1勝3敗となり、日本人として21季ぶりのリーグ制覇には届かなかったが、チームは23季ぶりの準優勝。高橋は全4セットで先発し、チーム3位の14得点で躍動。イタリア3季目を終え、日本代表として5月21日開幕のネーションズリーグ(ブラジル)、今夏のパリ五輪に臨む。 チャンピオンシップポイントから相手にスパイクを決められ、高橋は歓喜の輪ができる相手コートをぼんやり視野に入れた。02―03年シーズン、トレビゾで優勝した加藤陽一以来、日本人として21季ぶり2人目の頂点には届かなかった。「手応えもあったので、ペルージャに勝ってシーズンを終わりたかった。悔しさの方が大きい」。ここまで勝ち上がった充実感を、悔しさが上回った。 世界最高峰のセリエA挑戦3季目、日本人として19季ぶりとなる決勝の舞台に立った。1勝2敗の崖っぷちで迎え、第1セットから気迫を前面に出した。7―9でレフトからスパイクを決め、跳びはねてチームを鼓舞。接戦の第3セットは20―24から追いつき、24―25でこん身のバックアタックを決めて絶叫した。「最後は気持ち」と話していた通り、持ちうるすべてを強敵にぶつけた。 この1年、大きく成長した。「ファイナルで戦ってみたい。大舞台でしか得られない経験が代表シーズンや自分の成長につながる」と目標に据え、有言実行した。1月の左足首負傷を乗り越え、プレーオフを含め今季5度のMVPに輝いた。決勝4試合も全セットで先発し、いずれも2ケタ得点。また、昨秋のパリ五輪予選を経て日本代表のエース・石川祐希(28)=ミラノ=に並ぶ主軸を担うべく「勝負どころで1本を取り切れる力」を強く意識した。セット終盤に1点を託される場面が増え、得意の守備だけでなく攻撃面で存在感が光った。「この舞台でも自分の強みや成長した部分が出ていた」と胸を張った。 悔しさだけではなく、手応えをぶつける舞台が用意されている。5月21日開幕のネーションズリーグ。世界トップ16の国が参戦し、世界一を決める大会だ。昨年大会の銅メダル以上を目指す。そして7月のパリ五輪。「常に頭にある」と意識してきた舞台で、1972年ミュンヘン大会以来、52年ぶりの五輪金メダル獲得をつかみにいく。 高橋は5月上旬に帰国し、日本代表の活動に合流する予定。同じセリエAで9季目を終えた日本代表の石川主将は主力としてチーム初の3位に貢献するなど、代表チームメートも成長して臨む2つの世界大会。「世界一」だけを見つめて戦う。 ◆バレーボール・ネーションズリーグ 2018年に新設された国際大会。男女ともに世界トップの16チームが参加。1次リーグ(L)で各チームが12試合を戦って順位を決定。決勝ラウンドで1次L上位7チームと開催国がトーナメントで優勝チームを決める。日本は男子が23年に3位、女子は21年に4位となったのが最高。
報知新聞社