「元ファンモンと言われるのがツラかった」45歳のファンキー加藤が、衰えもさらけ出しながら走り続ける理由
体力は、衰えた
──この10年を振り返って、最も変わったと感じることはなんですか? 一番大きく変わったのは……体力(笑)。肉体面はごまかしがきかなくなりましたね。学生時代、僕は結構本気で野球やっていたから、その時の肉体的な貯金もあって、特にトレーニングなんかしなくても30代までは結構な本数のステージもやりこなせていたんです。それがソロになって40代に入る前後くらいから、体力の衰えをはっきり自覚するようになってきた。 加えて、気持ち的に大きかったのが、同世代のアスリートが次々と現役を引退する年代に入ってきたことですね。例えばサッカーの元なでしこジャパンの澤穂希さんは同年代で親しくしていただいていたから、彼女の引退はちょっとショックだったんですよ。あんなに普段からトレーニングしていたのに、一線を退かないといけなくなるのか……って。俺は今からでもなにかしないと手遅れになっちゃうんじゃないかと思って、慌ててジョギングを始めたり、キックボクシングのジムに通う回数を増やしたりしました。 これって、体力を保つ目的もあるけど、「今日も俺はなにかをやったぞ!」という実感を求めているのかもしれない。45才というのはどう考えても人生折り返しじゃないですか。人生が有限だってことを嫌でも意識することが増えてくるわけです。例えばニュースで流れる有名人の方の訃報も、子供の頃から見ていた馴染みのある名前を見ることが多くなってきた。 そうなると何もしない一日を過ごしてしまった自分が許せなくなるというか、恐くなってくるんですよ。だから今日も頑張った、無駄に過ごさなかったと言いたくて、毎日走っているんじゃないかと言う気もしています。事務所のスタッフさんからすれば、ジムに行く時間があれば、もっと曲書いて欲しいって思っているかも知れませんけどね。 ──肉体的な変化は音楽活動にも影響しますか? ありますね。僕はレコーディングもライブさながらに歌っているんですよ。空調も切って汗をかきながら歌うんですが、翌日になってぐったり疲れが出る。あとは、集中力も落ちたかな。歌詞を書いていても、続かないというか。出来た、と思っても、読み返したら数年前に全く同じフレーズを使っていたのに気付いたり。これは記憶力の低下もあるんですかね。やばくないですか。僕、今何の話をしているんですかね(笑)。