【山中伸弥×羽生善治】2人の天才が納得する驚きの勉強法!「独学ができない人の特徴は」…明かされる意外な答え
「iPS細胞技術の最前線で何が起こっているのか」、「将棋をはじめとするゲームの棋士たちはなぜ人工知能に負けたのか」…もはや止めることのできない科学の激動は、すでに私たちの暮らしと世界を変貌させつつある。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 人間の「価値」が揺らぐこの時代の未来を見通すべく、“ノーベル賞科学者”山中伸弥と“史上最強棋士”羽生善治が語り合う『人間の未来AIの未来』(山中伸弥・羽生善治著)より抜粋してお届けする。 『人間の未来AIの未来』連載第17回 『「年齢が上がるとミスが増えてくる・・・」天才棋士・羽生善治が将棋から生み出した、絶対に「若い人に負けない」方法』より続く
将棋の進化の歴史
羽生 将棋はもともと家元制度で、江戸時代には一部の人しか指せない閉じた世界だったんです。名人も世襲制でした。大正時代以降、将棋連盟が設立され、実力次第で誰でも入れるような世界になりました。そこにどんどんテクノロジーが入ってきて、今のような状況になっていることに、すごく不思議なものを感じますね。 本来はすごく古い伝統的世界ですから、30年前にこんな手を指したら師匠から破門されそうな手とか、「こんなことをしてもいいのかな」という手が、今の将棋の世界では主流です。それだけ短い単位で戦略を切り替えていかなければならなくなっています。 山中 そうすると、将棋の学び方も昔とはずいぶん変わっているんじゃないですか。 羽生 そうですね。インターネットができて、若い人たちはみんなネット上で練習するようになりました。これから先は多分、ソフトを使って研究するのが主流になるでしょう。
人間の能力を伸ばす「独学法」
山中 それはもう間違いないでしょうね。 羽生 ただそのとき、仮に問題と答えがあったとして、問題と答えだけを見ていくことで人間は能力を伸ばせるかどうか、が問われます。つまり、そこに先生やコーチといったサポートする人がいて、「ここはこういうふうに考えて解くんだよ」とか「こういうやり方のほかに、こういう方法があるんだよ」というような考え方の筋道を学ばなければ、人間はその世界についてちゃんと理解できないのかなとも思います。これはほかの分野もそうではないでしょうか。 山中 確かにそうですね。僕は小学校のときに少しだけ将棋を勉強したことがあるんです。母親に負けるのが悔しくて、割と一生懸命に入門書を読みました。でも、指し方は書いてあっても、なぜそう指すかが書いていない。理由は「これが定跡だから」。でも、ある本には一手一手の意味となぜその手を指すかの理由が書いてあって、初めて納得できた、という経験がありました。 羽生 インターネットは一つのツールとしては強力なので、今後も使われていくんだと思いますが、若い人たちがどれだけ有効に、有意義にそれを使いこなしていけるかは、歴史的な実験の面もあるんじゃないかなと思います。 『 【山中伸弥×羽生善治】AIも敵わない・・・「ノーベル賞級の発見」をしたスゴすぎる「思考法」』 に続く
山中 伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)/羽生 善治